豆腐は植物性タンパク質を含む代表的な食材です。カルシウムやマグネシウムなどのミネラルも含み、脂質も少ないため、アスリートに積極的に摂ってほしい食材ですが、若い年代のアスリートは十分に補給できていない傾向も見受けられます。今回は大豆食品の1つでもある「豆腐」の栄養について紹介します。

アスリートに積極的に摂って欲しい食材

上記にあるように、豆腐は脂質や糖質が少なく、タンパク質を効率的にとることができ、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルも豊富です。その他、機能性のある栄養成分として、脂質の代謝に関わるレシチンや抗酸化作用のあるサポニン、女性ホルモンであるエストロゲンに似た構造をもつ大豆イソフラボンなども含まれます。水分含有量が多く、のど越しもよいので、食欲がない時にも利用したい食品です。

ミネラル不足とコンディショニングの関係

選手にとって、ミネラル不足は「足のつり」に影響することがあります。「足のつり」は寒さや疲労など原因は様々ですが、栄養面で言えば、水分不足やミネラル不足がその原因となります。

以前、ある選手にコンディションチェックをしていた時の話です。食事の状況を見ると、カルシウムとマグネシウム不足の傾向がありました。さらに「試合中に足がよくつる」との訴えもあったため、カルシウムとマグネシウムの補給のために豆腐などの大豆製品をとるように勧めました。その後、毎日の食事で大豆製品をとるように食事内容を改善したところ、「体調が良くなった」「練習中も試合中も、足をつることがなくなった」という報告を受けました。

味が苦手な人は料理に混ぜ込んで

好き嫌いなど様々な理由から、特定の栄養素が不足するケースもあります。大豆製品が不足傾向にあると思う方は、豆腐をはじめ、納豆や豆乳の大豆製品や豆類などを毎日の食事に取り入れてみることから始めましょう。

豆腐の味が苦手な選手は、料理の中に取り入れて、味や形が分からないような工夫をしてみてはいかがでしょうか。今回紹介する「豆腐と鶏ひき肉の春雨スープ」は豆腐を肉団子のつなぎとして使っているので、見た目も味も、豆腐の主張が強くありません。

肉団子に豆腐を加えると、ふわふわのやわらかい食感になります。野菜もキノコも入れているので、動物性、植物性のタンパク質だけでなく、主菜や副菜の代用もできるスープです。春雨も加えているので、糖質もプラス。冬の寒い朝の温かい汁物として、ご飯やパンに合わせてはいかがですか?

女子アスリート/管理栄養士・上木明子