アスリートの中には、競技特性に適した体格になるためや階級制の競技のため、「減量」を試みる人も多いでしょう。実施する際のポイントは、「除脂肪体重を減らさないこと」ですが、結果を急ぐあまり急激に食事を制限し、体調を崩す選手も少なくありません。
今回は減量の際、選手がよく実施している「糖質制限」について考えてみましょう。
1、糖質制限で減量がうまくいくケース
糖質コントロールをすることで、減量がスムーズにいく場合もあります。減量が成功した選手の食事を振り返ってみると、日頃からご飯などの炭水化物をしっかりとった上で練習をしている選手が多いように感じます。このように、食事からエネルギーが満たされ、代謝が高く維持されている選手は、例えば、夕食の主食量を50g程度減らすだけで、スムーズに減量ができるようです。
2、糖質制限で減量がうまくいかないケース
一方、そもそも食事量が少なく、特にご飯などの炭水化物が100gにも満たない選手は、それを50gに減らしたり、欠食したりしてもなかなか痩せません。理由としては、食べる量が少なく、運動量と見合っていない状態が続いているため、すでに代謝が低いからです。
このような選手の場合、常に体は飢餓状態なので、甘いものが食べたくなったり、ドカ食いをしてしまったりとエネルギー摂取が安定していないことがあります。また、ご飯を減らす反面、おかずで空腹を満たそうとして脂質やタンパク質を多くとってしまうと、エネルギー比率がアンバランスとなり、逆にエネルギー代謝がスムーズにいきません。
これらのケースは糖質コントロールをしてもなかなか痩せません。まずは食事を整えることから始めることが大切です。
3、アスリートの適正な糖質量
IOC(国際オリンピック委員会)のガイドラインによると、持続時間が中程度で低強度のトレーニングをする場合でも、体重1kgあたり5~7gの糖質をとることを勧めています。中から高強度の持久性運動の場合でも、体重1kgあたり7~12gになります。つまり、減量中とはいえ、普段から運動量が多いアスリートは、最低でも体重1kgあたり5~7gの糖質の量を目安に確保することが大切です。
体重50kgの選手の場合、1日に摂取すべき糖質量は250~350g程度となります。茶碗1杯150gのご飯で換算すると、5~7杯程度になります。当然、ご飯だけではまかないきれませんが、糖質を含む食品はパン、麺類などの主食だけでなく、野菜や果物などにも含まれているものがあります。糖質の多い食品を選びながら、適量をとるようにしていきましょう。
自己流の減量はうまくいかないことが多く、指導者から減量を指示されたといって無理をすると体調不良を起こしかねません。お困りの際は是非、公認スポーツ栄養士に相談してください。
今回紹介するのは、「鶏肉のおこわ」です。もち米は白米よりもエネルギー量は高いものの、腹持ちも良いのが利点です。このレシピではもも肉を使っていますが、むね肉に変えれば、脂質が抑えられ、カロリーカットできます。
おにぎりにすれば持ち運びしやすく、練習前後の補食や試合の日の昼食、補食としても使えます。ただ、試合当日は食物繊維の多いゴボウやシイタケを除くと、消化に負担が少なくなり安心です。状況に合わせてアレンジしていきましょう。