お店に売っているほとんどの食品には「食品ラベル」が貼ってあり、見たことないがないという人はほぼいないと思います。シールで貼られているものもあれば、袋に印字されているものもあり、小さい字でたくさんの情報が記載されています。

原材料や賞味(消費)期限、栄養成分など様々な情報から自分に必要なものを選ぶことは、食事の管理においても必要なことです。今回は食品ラベルについてお話しします。

法律により添付が義務

食品ラベルは2020年4月1日施行の食品表示制度により、食品を販売する際に添付することが義務付けられました。日本製のものはレイアウトや文字の大きさ、色、表示する項目など細かく決まっています。食品ラベルの決まりを知っていれば、自分の欲しい情報を早く見つけることができるとともに、きちんと表示されているものは、安全性がある程度確保されているということになります。

必ず義務しなければならない項目に「安全性に対するもの」があります。それらを3つ紹介していきます。

賞味期限と消費期限

1つめは、賞味・消費期限です(いずれも、開封前の食品を対象)。「賞味期限」は加工品の品質が変わらずにおいしく食べられる期限で、過ぎたら食べられないということではなく、「味は保証しませんよ」といった感じでしょうか。「消費期限」は生鮮食料品を安全に食べられる期限です。こちらも期限を過ぎたら食べられないわけではないけれど、劣化が進み食中毒のリスクが上がるので「品質は保証しませんよ」といった感じです。

食中毒菌の中には常在菌(自然界にいつもある菌)もあり、菌が少し付着してすぐに食中毒が起きるわけではなく、ある程度菌が繁殖したときに起きるものなので、ひどく神経質になる必要はなさそうです。しかし、体調によっては症状が出てしまう場合があるので、選手本人が「食べたくない」と感じたときは避けた方が良いと思います。

アレルギー物質の表示

2つめはアレルギーに関する物質の表示です。加工食品で表示が義務づけられているアレルギー物質は「特定原材料」といい、卵、乳、小麦、エビ、カニ、落花生、そばの7品目。「特定原材料に準ずるもの」としてできるだけ表示することが推奨されているものは21品目あり、アーモンド、アワビ、イカ、イクラ、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、クルミ、ゴマ、サケ、サバ、大豆、鶏肉、 バナナ、豚肉、マツタケ、桃、ヤマイモ、リンゴ、ゼラチンがあります。原材料となる食材だけでなく、製造工程で混在する可能性があるものや添加物も表示が必要です。

保存方法は購入前に確認

3つめは保存方法です。例えば、「保存温度10℃以下」、「常温で保存」など示されている方法で「正しく」保存した場合に初めて「賞味・消費期限」が成立するので、しっかり確認する必要があります。なお、開封後は保管方法が変わる場合があるので注意しましょう。

栄養成分表示で「ゼロ」を見破れ

その食品にどんな栄養素がどの程度入っているかの情報が得られるのは「栄養成分表示」です。エネルギー、タンパク質、脂質、炭水化物、食塩相当量は表示義務があるので、これをしっかり見ることが大切です。

商品のパッケージに「0(ゼロ)カロリー」「カロリーオフ」などと大きく表示されているものがありますが、ここには大きな落とし穴があります。販売のための「食品表示基準」では、栄養成分ごとに「0g」と表示できる量が決められているため、実際の量と表示文言が一致しない、つまり「ゼロ」ではないものもあるのです。

エネルギーは飲料100ml(食品100g)あたり5kcal未満が「ゼロカロリー(カロリーゼロ、ノンカロリーなど)」、20kcal未満(食品100gでは40kcal未満)は「カロリーオフ」と表示できます。例えば、500mlの「ゼロカロリー」飲料を買ったとしてもカロリーはゼロではなく、25kcal未満であるということにしかなりません。

「糖質ゼロ」「糖類ゼロ」も「ゼロ」ではないこともあります。糖質は100gあたり0.5g未満ならば「糖質ゼロ」、5g未満なら「低糖質」と表示が可能です。

食品ラベルの見方
食品ラベルの見方

最も基準が緩いのは「糖質オフ」

本当にゼロなのか確認できるのが、栄養成分表示です。糖質は炭水化物に含まれるものなので、栄養成分表示の「炭水化物」に数字が入っていれば、糖質や糖類が含まれているということになります。原材料を見れば、人工甘味料を使っているかどうかもわかります。

最も基準が緩いのが「糖質オフ」で、比較する食品より5g以上(100gあたり)糖質が少ない場合に表示することが認められているため、比較対象によっては相当なカロリーを摂っていたということもあります。

知らず知らずのうちに、余計なエネルギーや成分を摂ることがないよう、食品を購入する際は栄養成分表示を確認することが大切です。パッケージの宣伝文言に惑わされず、適切な食品選択や栄養成分の過不足の調整に役立てることができます。食品ラベルと栄養成分表示の解説を載せたので、参考にしてみてください。

今回、紹介するのは「豆乳湯豆腐」です。寒い季節には湯豆腐など体が温まる料理がいいですよね。

湯豆腐と言えば、昆布だしで豆腐を温めるだけで簡単にできますが、他の食材がとりにくく、味もあっさりして好まない選手もいます。この豆乳湯豆腐は、豆乳鍋のようにつゆに味をつけ、野菜と豆腐を入れてそのまま食べられるように汁仕立てにしました。

つゆまで飲めば豆乳の栄養も摂れますし、卵や肉団子、好きな野菜を入れてもOK。「一人鍋はちょっとハードルが高い」という選手も、汁物のようにすれば食べやすいのではないでしょうか。

体が温まり、栄養たっぷりの「豆乳湯豆腐」をお試しください。

女子アスリート/管理栄養士・佐藤郁子