前回のコラムでは「月経周期」についてお伝えしました。月経前や月経中はいろんな症状が出ますが、個人差が大きく、痛みの程度はなかなか他人には伝わりにくいものです。自分なりのスケールで判断するしかありませんが、あまりにもひどい症状の場合には、卵巣嚢腫や子宮筋腫などの病気が隠れている場合があります。だからこそ、月経前・中に現れがちな症状を知っておく必要があるのです。

現れる症状は人それぞれ「月経困難症」

月経周期とホルモン・体調の変化の図
月経周期とホルモン・体調の変化の図

上の図の「月経」の時に現れがちな症状として「月経痛」がありますが、これは腰や下腹の痛みなどのことです。「何となく痛い、何となく重い」くらいの選手もいますし、立っていられないほど腰が痛い場合や寝込むほどの痛みがある場合もあります。

その他、頭痛も程度は様々ですし、いつもは排便が快調なのに月経中だけ便秘や下痢になるという選手もいます。身体の不調はないけれど、肌だけが調子が悪い選手や、痛みや不調はないけれど、タイムが悪いなどパフォーマンスが上がらない選手もいます。また、前回のコラムでも触れましたが、「月経=出血」のため、鉄の損失が増えて貧血になる選手が多くいます。

不快な症状が出る選手が多い「月経前緊張症」

月経前の「黄体期」になると黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響により、様々な症状が出現します。この不快な症状を「月経前緊張症(PMS)」と言います。

よく聞くのは「食欲が出てたくさん食べてしまう」「眠くなる」「浮腫む」「体重が増える」などです。体重は2キロくらい増える選手も多く、選手の悩みの1つです。

選手の思考として、「食欲が出てたくさん食べてしまう」⇒「体重が増える」⇒「自己管理ができていないと落ち込む」というパターンが多いのですが、よく聞くと次の月経が始まって終わる頃には体重は元に戻っていることが多いのです。この時期の体重増加は月経前症状の「浮腫」が原因なので、あまり気にする必要はないようです。

その他、「イライラする」「憂鬱になる」という症状もよく聞きますが、これもよくあること。「なんでやる気がでないの?」「どうして、こんなことで腹が立つの」などと感じることがあるかもしれませんが、そういう時期だと割り切ることも必要です。

みんなそうだから…は禁物、つらければ受診を

月経前・中に様々な症状が出るが、症状の程度は人それぞれという話をしましたが、中には症状がとてもひどく出る場合があります。月経時の腰痛・腹痛・頭痛も寝込むほどひどいものや、症状がいくつも重なっている場合、吐き気や嘔吐なども併発してものが食べられない場合など日常生活がままならないものは普通ではありません。

また、PMSの症状でイライラしたり憂鬱になったり、メンタル面に影響が出るものもあります。しかし、憂鬱がひどくて寝込んだり、ものが食べられなくなったりする場合、「死にたい」など尋常でないほど落ち込む場合も普通ではありません。

「みんなにある症状だから…」と思わず、症状が自分にとってつらいと感じたときは、思い切って婦人科を受診しましょう。薬を服用するだけで改善するものもありますし、症状が全くなくならなくても、軽減することで生活が楽になることも多くあります。

今回紹介するのは、「春雨入り卵と野菜の中華炒め」です。卵は、あの1個の中にヒヨコが誕生するまでの栄養が入っています。つまり、完全に近いほどいろんな栄養素が入っているのです。今は卵の値段が上がっていますが、比較的価格は安定し、安価で和洋中の料理、何にでも使える優れものです。

女子アスリート/管理栄養士・佐藤郁子