食事の摂り方を見直し、みるみる体が大きく
「おいしく食べる」がモットーだ。浅川さんの思いは、何より現場の気持ちを反映している。豊泉啓介監督(36)は「私がコーチ時代は、ご飯だけで約1キロを強制的に食べさせていた。でも、子どもたちの中には具合が悪くなったり、食事が嫌いになる子もいた。体重もなかなか増えていかなかったんです」と振り返る。19年5月、監督就任後、あらためて食育を学び「6~7割の満腹感を1日中続けることで効率良く体重が増える」と、食事の摂り方を見直した。野球部の選手たちは、朝、昼、晩、それぞれ大きめの茶わんにご飯大盛り1杯で、4500~5000キロカロリー弱が目安。それに加え練習前に1個、練習後に2個のおにぎりを間食し、一度にたくさんの食事を摂るのではなく、1日の食事の量で管理。他、各自プロテインも摂取する。「みるみる体が変わっていった。今の選手たちも意識を高くやってくれて成果を出してくれています」と、効果を実感している。
この取り組みは選手からも好評だ。エースのヴァデルナ・フェルガス投手(3年)は入学時から13キロアップの83キロに。「たくさん食べますが、苦ではありません。毎日おいしく食べられています」と、ご飯を頬ばりながらニッコリ笑った。昨オフは食事に瞬発系のトレーニングを増やし、球速が8キロアップし136キロを計測した。
現場と食堂が二人三脚で取り組む食育。浅川さんは、「直営でやっている強みは、食育の教材がその場にあること。生の教材が目の前にあることが栄養士側からみてもやりやすい。これからも、みんなの要望を聞きつつ、安全でおいしいご飯を提供していきたい」と話す。これからも選手の思いに寄り添い、栄養満点のおいしい食事を作り続ける。【保坂淑子】