座っている時間が1日に7時間以上あると、女性が乳がんを発症するリスクが4割近く上昇するという研究結果が明らかになった。京都府立医科大の研究グループが発表した。
筋肉を動かさないことで血行が悪くなる影響などが考えられ、座わっている時間が7時間以上ある人が運動しても罹患リスクが低下しないとの結果も出た。座位時間を1日7時間未満にすることが、乳がん予防の1つになるとしている。
日本人は世界で最も座位で過ごす時間が長く、1日あたり7時間というデータもある。乳がんは日本人女性で罹患率が最も高い。がんは生活習慣や遺伝などさまざまな要因で発症するとされているが、日本人女性の罹患率が最も高い乳がんと座位時間との関係が明らかになったのは初めてという。論文は日本がん学会誌「キャンサー・サイエンス」に掲載された。
研究グループは、3万6000人超の日本人女性を9年4カ月にわたって追跡したデータを調査した。健康状態や座位時間などの生活習慣をたずねたところ、554人が乳がんを発症していた。年齢や体格指数(BMI)、喫煙、飲酒、乳がんの家族歴、初経や閉経の時期、出産経験、ホルモン療法の有無など、ほかの乳がんリスクの影響を取り除く手法で分析した。
1日当たりの座位時間との関係を分析したところ、「7時間未満」だった人に比べ、「7~10時間」の人は32%、「10~13時間」は42%、「13時間以上」は34%それぞれ多く、罹患リスクは7時間以上で平均36%も高かった。
余暇の運動と座位時間、乳がん罹患との関係についても分析。座位時間が1日7時間以上の人は、運動を「1日1時間以上の歩行」「週3回以上の運動」「週1時間のジョギング相当の運動」をしていても、座位時間が7時間未満の人より罹患リスクが高い結果となった。
研究グループの富田仁美医師は「乳がんの罹患には座位時間が運動よりも強い影響を与える可能性がある。1日当たりの座位時間を7時間未満にすることが、乳がん予防の1つの方法になる。運動不足を解消するために、余暇の時間にまとめて運動するよりも、普段から座位時間を短縮し、こまめに運動を取り入れることが効果的だと考えられる」としている。
デスクワークで座りっぱなしに気がついたら、立ち上がってストレッチをしてみる、普段の移動にエスカレーターではなく階段を使ってみる、隙間時間に体操をしてみるなど、日々の小さな心がけで健康を維持していくことが大切だ。