<パフォーマンスアップのための食品の選び方、商品の見極め方(4)>

 今、話題の「スーパーフード」。アサイーやチアシード、ココナッツオイルなど、コンビニやスーパーでもよく見かけるようになり、手に取ったことがあるという方も多いのでは? 今回は、アスリートならではのスーパーフードの活用術をご紹介します。

 まず、スーパーフードとは、
栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品であること。あるいは、ある一部の栄養、健康成分が突出して多く含まれる食品であること。
一般的な食品とサプリメントの中間のような存在で、料理の食材としての用途と健康食品としての用途を併せ持つ、と定義されるとのこと。

 「健康食品としての用途」とはずいぶんとざっくりとした表現ですが、何かしらの栄養素が多めに含まれている食品、という解釈すれば良いでしょう。

 流行しているからといって、むやみにあれこれ取り入れても、すべてが体にとって最適なわけではありません。いくらスーパーフードとはいえ、それを食べただけで、痩せたり、疲労回復効果を得られたり、筋肉がついたりすることはないのです。サプリメントなどと同様に、普段の食事でどうしても不足がちな栄養を補うための+αとして取り入れていきましょう。

 また最近では、スーパーフード入りのパンやお菓子もよくみかけます。そこに注意が必要です。原材料に、異性化糖やマーガリンなどの健康に良いとは言い難いものや、乳化剤や保存料などの食品添加物まで含まれるものが多くあります。「健康に良い」「ヘルシー」などを装った商品を選んでしまわないよう、原材料名やその産地、加工法までしっかりとチェックしてから利用したいものですね。

オススメするスーパーフード

 それでは、アスリートの皆さんに賢く利用してもらいたいスーパーフードをご紹介します。

亜麻仁油、えごま油、しそ油、くるみ
 ご存知、オメガ3系脂肪酸であるα-リノレン酸を多く含む油です。α-リノレン酸は、脳や網膜のリン脂質に含まれている成分で、体内に入ると青魚に含まれている油であるDHAやEPAに変換されます。人間の体は約60兆個の細胞からできています。その細胞ひとつひとつに、「細胞膜」と呼ばれる細胞の内外を隔てる膜が存在します。この細胞膜の質を高めることが、強い体を作るためには大切なことです。

 筋肉痛は筋線維の微細損傷と炎症によるものですが、オメガ3系の油は、こうした炎症反応を抑える働きがあります。ケガの予防や疲労回復にも効果が期待できますので、1日大さじ1~3程度摂取できると良いでしょう(くるみなら片手半分程度)。

 非常に酸化しやすい油ですので、抗酸化作用のあるビタミンE(ゴマ、アーモンド、アボカド等)を含む食材を一緒に食べるようにすること、また熱を加えると変性(酸化)してしまうのでドレッシングなど生のまま摂取することがよいことなどが挙げられます。

チアシード
 亜麻仁油などと同様、オメガ3を多く含み、タンパク質やミネラル、そして食物繊維を多く含みます。水を含ませるとゼリー状になるため、料理のとろみづけやデザートなどに最適です。ちょっとした栄養価アップに一役買うスーパーフードだといえるでしょう。野菜不足、野菜や魚を食べる頻度が少ない、食べる時間がない、という時にオススメです。

チアシードの黒ごま豆乳プリン
チアシードの黒ごま豆乳プリン

マヌカハニー
 マヌカハニーはニュージーランドに生息するマヌカの木の花から採れるハチミツで、普通のハチミツよりも「メチルグリオキサール」という抗菌成分が多く含まれているため、免疫力の向上が期待できます。体を酷使するアスリート、特に体脂肪が少ない選手は胃腸を健康に保つことが困難な場合があります。きついトレーニングに耐えるために、腸内環境を整え、免疫力を高めることは必須です。「メチルグリオキサール」の含有量が多いものがより効果がありますので、きちんと確認して購入することが必要です。

 特に、疲労がたまっているとき、風邪をひきそうなときなど、ティースプーン1杯程度摂取するのがオススメです。
※全くこの成分が入っていないものを売っている場合もあるそうなので、注意が必要です。

アマランサス、キヌア、そばの実などの雑穀
 穀類でありながら、アスリートにとって必要なタンパク質が豊富で、鉄分などのミネラル、また食物繊維が豊富な雑穀。ただの白米を食べるよりも、数倍の栄養摂取ができるため、ご飯には雑穀を加えて炊くのがオススメです。

マカ
 アミノ酸が豊富に含まれており、とくにアルギニンを多く含みます。運動前の摂取により、疲労回復や筋トレ効果を上げる可能性があります。タブレットのものとパウダーのものがありますが、パウダーのものはドリンクに混ぜたり、料理に加えたりできるので食材として取り入れることができます。

カカオニブ
 チョコレートの原料であるカカオニブ。ポリフェノールを多く含むため、抗酸化作用が期待できます。疲労回復や免疫力アップなどの交感神経も刺激するため、運動前の摂取もオススメです。しかし、カフェインも多く含むため摂りすぎ注意が必要です。高価なので、大量に摂ることはないと思いますが、チョコレートと同じように「依存」してしまうこともありますので、ここも要注意です。

<番外編>
ぬか漬け
 日本の代表的なスーパーフードであると言いたい、ぬか漬け。野菜本来の栄養素+ぬかの栄養素、そしてそこに乳酸菌も。生キュウリとぬか漬けキュウリを比較すると、ビタミンB1は13倍、B6、マグネシウムパントテン酸は3倍になります。野菜を食べる時間がない、量が食べられない場合でも、ぬか漬けを利用するだけで手軽にビタミンミネラル摂取量アップが期待できます。

 そのほかにも日本の伝統である発酵食品(納豆やみそ、こうじ漬けなど)は食材の栄養価を高め、消化にも優れているため、日本人のアスリートにとっては、最高のスーパーフードなのではないでしょうか。

チアシードの黒ごま豆乳プリン
チアシードの黒ごま豆乳プリン

 今回は、スーパーフードの中でも使いやすく、スーパーなどでも手に入りやすいチアシードのデザートレシピ「チアシードの黒ごま豆乳プリン」を紹介します。水を含んでゼリー状になる性質を生かして、ゼラチンなどを使わなくてもただ混ぜるだけでとろとろのプリンのような食感になります。冷やしておいて、夏の差し入れにもいかがでしょうか。オメガ3やタンパク質、食物繊維、カルシウム、マグネシウム、鉄がとれる最強デザートです。