12月に入り、ますます寒くなってきたこの時期、風邪などの感染症や、寒さからくる腹痛などの体調不良が心配な時期です。これからシーズン本番を迎えるスポーツも多くある中、体調管理は万全にしておきたいですね。

 免疫力をコントロールするのは、体内のT細胞。胸腺という臓器で作られます。この胸腺は、ストレスのダメージを受けやすいといわれています。からだの中で最も活発に細胞を生産するために、栄養不足やストレスに弱い臓器でもあるため、過酷なトレーニングをするアスリートも注意が必要です。

タンパク質、ビタミンも重要

 細胞と元になる栄養素は、まず「タンパク質」。これを合成する役目を担うのが「ミネラル」(亜鉛、鉄、マグネシウムなど)。そして「ビタミン」(ビタミンB6、葉酸など)です。これらが不足することでタンパク合成が行われず、弱々しいT細胞が作られてしまうのです。

 この栄養素の中でも特に「亜鉛」の不足は、胸腺の萎縮を起こしてT細胞の機能低下を招いてしまうのです。そして、アレルギー症状などを悪化させます。亜鉛をはじめとする栄養素をしっかり補給すると、胸腺は回復し、元気で活発なT細胞が作られます。

 免疫力を高めるためには、ストレスマネジメント(いかにエネルギーを節約しながら、自分の目的のために最大限にエネルギーを使うか)をするとともに、タンパク質・ビタミン・ミネラル(特に亜鉛)の補給が重要です。

 米国で発売されているリップクリームやトローチには亜鉛が配合されているなど、海外では冬には亜鉛、風邪には亜鉛、という考えが常識になってきているようです。

慢性的な亜鉛不足を「牡蠣」で克服

 亜鉛の1日推奨量(2015年版)は、成人男女でそれぞれ10mg、8mgと制定されています。日本人の亜鉛摂取量は8mg前後で、若い女性の摂取量はわずか6.5mg程度。しかも、最近の日本の食卓は60%以上が加工食品で占められているので、食品添加物としての亜鉛キレート剤(亜鉛の排出を促す)の摂取量も多いものと推察されています。

 つまり、出来合いの食品ばかりを食べていると、小腸からの亜鉛の吸収が悪くなるということです。

 慢性的に不足しているといえる亜鉛は、魚介類や動物性タンパク質食品に多く含まれます。その中でも、冬シーズンを迎える「牡蠣」は、最も亜鉛の含有量が多く、オススメの食材です。牡蠣は「海のミルク」と呼ばれるほど栄養が豊富です。粒の大きさにもよりますが、3、4個で1日に必要な亜鉛の量が満たせます。

 また、亜鉛は免疫力を高める以外にも、アスリートにとって重要な働きをたくさん備えています。

ケガからの回復
日々のトレーニングからくる身体的ダメージを回復する
エネルギー代謝の促進(たくさんのエネルギー、パワーを生み出す)
アレルギー性鼻炎の改善
皮膚炎・口内炎の改善
月経不順に有効

牡蠣のオイル漬け
牡蠣のオイル漬け

 そこで今回紹介するのは「牡蠣のオイル漬け」です。冬は牡蠣がおいしい季節ですので、家でもぜひ牡蠣料理にトライして下さい。

オイルに漬けることで日持ちし、常備菜としても使えます
オイルに漬けることで日持ちし、常備菜としても使えます

 オイルに漬けなくてもすぐに食べられますが、漬けることで日持ちし、常備菜としても使えます。牡蠣で免疫力を高め、寒い時期のトレーニングも乗り切りましょう。レシピの分量はすぐ食べきってしまう2人分なので、倍量を作っておくのがオススメです。