「GI値」。穀類や芋類、砂糖類などの「糖質」関連の話で聞いたことがあるかもしれません。少し難しい言葉ですが、知っておくと役立ちますので、今回はGI値を説明します。
GI値は、Glycemic Index(グリセミック・インデックス)の略で、食べ物を食べた後の血糖値の上昇度を示す指標です。ブドウ糖(糖質の最小単位の糖)のみを食べたときの血糖値の上昇度を100として、それぞれの食品を数値化しています。
つまり、
●高GI食品=血糖値が上がりやすい食品
●低GI食品=血糖値が上がりにくい食品
という意味になります。
シドニー大学では、
●70以上 =高GI食品
●55~70=中GI食品
●55以下 =低GI食品
と定義しています。
インスリン過剰分泌で集中力低下
では、GI値が低い、高いで何が違うのでしょうか。糖質を含んだ食べ物を口にした場合の流れは以下となります。
①糖質を含んだ食べ物が口から入ると、食道を通り、胃や小腸で消化され、ブドウ糖として血管内に吸収され、体内に取り込まれます。
②血液中に糖(血糖)が増えることでインスリンというホルモンが分泌されます。
③インスリンにより、血糖が肝臓や筋肉、脂肪組織などの細胞に取り込まれます。
④大量の糖が血液中に入った場合、血糖を細胞に取り込んで血糖値を下げようとインスリンが過剰に分泌されます。
④のインスリンが過剰に分泌されることで、血糖値が急激に下がります。血糖値は上がった時はハイな状態になりますが、下がり過ぎた時は集中力が切れたり、不安な気持ちになったり、眠くなったりするほか、スポーツにおいてはエネルギー切れの状態になり、パフォーマンスが下がる可能性もあります。また、インスリンは体脂肪を溜め込む働きがあるため、過剰に分泌されると太りやすくなります。
GI値で見てみると、血糖値を上昇させやすい高GI食品は、同じ糖質量の低GI食品をとった時に比べて、インスリンが多く分泌されるということが言えます。
練習後は高GI食品を利用
スポーツ選手において、インスリンが分泌されることがすべて悪いことではないのですが、普段の食事でホルモン(インスリン)が極端に分泌されるのは、コンディショニング管理において悪影響を及ぼすことが多くなるので、炭水化物(糖質)を摂る時は、高GI食品よりも低GI食品を選ぶようにした方が良いでしょう。反対に、トレーニング後など筋グリコーゲンの合成を早めたいときには、高GI食品を利用した方が効果的です。
高GI食品に分類される炭水化物は、白米、もち、菓子パン、フランスパン、食パン、甘いものなど、精製された(白い)食品が多く該当します。一方、低GI食品は、玄米、雑穀、ライ麦パンなど精製されていない(茶色い)食品が多く当てはまります。
普段の食事では、精製されていない低GI食品の炭水化物をとって血糖値を穏やかに上昇させ、ホルモンをコントロール。トレーニング後などには、すぐに吸収される高GI食品と、シーンごとに選択すると良いでしょう。
GI値の異なる食品やタンパク質や脂肪といった他の栄養素と一緒に摂ると、食事としてのGI値は変化します。このあたりは、次のコラムで詳しくお伝えしいます。
今日紹介するレシピは「ヒジキと切り干し大根の雑穀炊き込みご飯」です。低GI食品である雑穀米に、ヒジキや切り干し大根、キノコなど食物繊維が豊富な食材を組み合わせています。乾物の栄養素も一気に摂取できる、栄養満点の炊き込みご飯。ぜひお試しください。