皆さんご存知の通り、炭水化物(糖質)・脂質・タンパク質は3大栄養素といい、体内でエネルギー源として利用される栄養素です。

 これらはさまざまな酵素の作用を受けて代謝されることで、エネルギーに変換されます。それぞれの栄養素を単独でとったとしても、酵素が不足しているとエネルギー源になりません。酵素の働きを助ける補酵素がないと、体の「エネルギー生産工場システム」が止まってしまうからです。

ビタミンB群すべて必要

 炭水化物(糖質)と脂肪、タンパク質は相互に入れ替わっています。ブドウ糖をエネルギーに変える途中にTCA回路(クエン酸回路)という代謝経路を通ります。そこは、脂肪酸や特定のアミノ酸が出入りできるようになっており、ブドウ糖が足りなくなれば、アミノ酸から作ったり、脂肪酸を分解してエネルギー源とします。

 このTCA回路ではビタミンB群が必要不可欠です。ビタミンB群は、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンとありますが、相互に助け合っており、1種類でも不足すると代謝経路全体が止まってしまうので、補うなら全部補う必要があります。

 中でも、特にアスリートに注目される栄養素はビタミンB1。糖質の代謝をコントロールしている酵素、ピルビン酸デヒドロゲナーゼの補酵素として働きます。

 ビタミンB1の摂取が不十分だとピルビン酸デヒドロゲナーゼの働きが悪くなり、糖質がエネルギーにうまく変換されず、筋活動へのエネルギー供給力が低下します。つまり、競技中の体力や疲労に影響します。

 陸上競技や水泳などのラストスパート、短距離走や球技でトップスピードを出す場面など、急激に強度が高くなる場面では、3大栄養素の中で糖質がエネルギー源として利用される割合が高くなります。そのため、ビタミンB1の栄養状態がとても重要になってきます。

糖質多めなら必要量増加

 また、糖質の代謝に関わるということは、糖質を含む食品を多く摂取するときに必要量が増加します。お正月で糖質を多く含むおいしいものをたくさん食べたと思いますので、いつも以上にビタミンB1が必要かもしれません。

 ビタミンB1をはじめとするビタミンB群をしっかり摂り、ここぞといった場面でエネルギーを作り出せる体にしていきましょう。

 ビタミンB1といえば、やはり豚肉。タマネギやニラ、ネギなどに含まれるアリシンと組み合わせることで吸収率が上がります。「豚肉のショウガみそ焼き」は定番のショウガ焼きをみそ味で仕上げました。ご飯が進む1品です。ぜひお試しください。

【管理栄養士・園部裕美】