「江戸わずらい」と言われて恐れられていた病、「脚気(かっけ)」をご存知ですか?

江戸時代では、精製された白米を食べる習慣が広まり、この病気が流行しました。重篤になると末梢神経障害と心不全をきたす疾患です。

これはビタミンB1という栄養素の慢性的な不足から起こります。現代にはすでに存在しない病気とされているのですが、脚気という病名ではないものの、実は今でもビタミンB1の欠乏で生じる様々な症状があるのです。

甘い物、ジャンクフード、アルコール…

ビタミンB1の欠乏は、大量の糖質のみの摂取で起こります。つまり、甘い物をたくさん食べたり、パン・麺だけで食事を済ましたり(おかずはほぼなし)、ジャンクフードや加工食品、アルコールをたくさん摂る…といった生活を続けていると引き起こします。加えて、生の魚介類(イカ、タコ、魚の刺身)はビタミンB1の酵素活性を抑えてしまうマイナスな作用があるため、これらを大量に摂っていることで生じる場合もあります。

暑い夏は食欲が落ちて、栄養薄(タンパク質不足)な食事になりがちですよね。朝はフルーツとヨーグルト、昼はそうめん、おやつにアイス、かき氷、甘い飲み物、夜は刺身とごはんと野菜、そしてビール…。このような一見ありがちな食事も、実はビタミンB1不足になりやすいのです。

・むくみ
・足のしびれ
・座骨神経痛
・倦怠感(特に下半身)
・疲労感

このような症状がある方はいませんか? 夏バテかと思っていたら、ビタミンB1不足の脚気症状だったということもあるので注意が必要です。

麦飯、豚肉、大豆製品を意識して

ビタミンB1を多く含む食材は、麦飯、豚肉、大豆製品です。タマネギ、ニンニク、ニラを組み合わせると吸収が良くなります。ご飯を炊くときは麦をプラス。メニューとしては「レバニラ炒め」や「ショウガ焼き」がオススメです。朝は納豆ご飯で大豆製品も摂りましょう。

夏バテ知らずの胃腸のためには、夏の食事の摂り方も重要です。無理して量をたくさん食べる必要はありませんが、主食・主菜・副菜のバランスはできるだけ崩さないように心がけると良いですね。

今回紹介するレシピは「ニラ入りとん平焼き」です。とん平焼きは関西風の居酒屋などで出される鉄板焼きの一種。「とん(=豚)」を平たく焼いたものから命名されたと言われています。

豚肉、卵、ニラ、モヤシを使い、簡単でビタミンB1もタンパク質も効率よく摂れる一品です。暑い夏を乗り越えるためにも、ぜひお試しください。

管理栄養士・園部裕美

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