「タンパク質は筋肉や体の色々な部位の材料になります」とスポーツ栄養学ではよく聞くと思います。しかし、食べたらすぐに筋肉や体の部位になるわけではなく、消化・吸収・代謝・合成という過程があり、その都度、様々な栄養素が必要になります。
体内で消化・吸収・代謝・合成の過程
この消化や吸収の部分が栄養学では盲点になりがちで、特にタンパク質においては大きな要素となります。タンパク質は他の栄養素に比べて構造が複雑なため、消化にエネルギーを使うからです。
疲労が溜まっていたり、ケガや病気の時は、エネルギーをタンパク質の消化に回せないことがあるので、タンパク質食品を多く食べられません(食べる気が起こらない、となる人が多いはず)。自分自身で産生したエネルギーは、できる限りパフォーマンスアップのための体力としてとっておきたいので、アスリートは消化の補助となるものを積極的に摂ることをオススメします。
タンパク質の消化は胃酸や消化酵素が必要
タンパク質の消化には、胃で分泌される胃酸や、胃、すい臓、腸で分泌される消化酵素が必要です。消化酵素は元をたどればタンパク質からできているので、結局はタンパク質をしっかり消化吸収していこう、となるのです。
胃酸は酸がある食品を食事中に取り入れることや唾液をしっかり出すことで分泌を促進できます。酸っぱいものを摂ること、よく噛むことのほか、「おいしそう~!」「いいにおい~!」と食欲をわかすことも有効です。
冷たい食事や、温めてもいいにおいとはいえない食事では、胃酸分泌を促すことはできません。時には、炭火で焼いた香り、「うわ~、おいしそう~」と思わず口にしてしまうような湯気やシチュエーションなどにこだわることも、消化にとってはとても大切な要素です。
作る側も、食べる側も「おいしいものを食べる」ことに意識すると、結果的に消化も良くなり、食べたもの、その栄養素を無駄なく体の材料にすることができるのです。
今回紹介するレシピは、スパイスと酸を利かせた「ネパール風ポテトサラダ」です。アチャールというカレーに添える漬物的存在です。クミン、コリアンダー、ターメリックなどカレーに使うスパイスとレモン汁でちょっと酸っぱい味は病みつきになるほどで、胃酸の補助にぴったりの1品です。食物繊維も豊富なので、腸の健康にも役立ちます。ぜひお試しください。