3月から5月の春の季節。スーパーの店頭には旬の春野菜がたくさん並びます。そもそも「旬」とは何なのでしょうか。

 食材には、それぞれ出盛りの期間があります。野菜であれば収穫期、魚であれば海流に乗って収穫量が増えたり、産卵前の脂ののった時期を旬と呼んでいます。その旬も、3つの時期に分けられています。

「走り」「盛り」「名残り」

 まずは「走り」。旬の口開けで、まだまだ出回る量は少ない時期です。次に「盛り」。まさに最盛期で取引量も最大になる頃。そして、そろそろ時期も終わりに近づくと「名残り」と呼ばれます。

 旬の中でも「盛り」は、その食材のピークの時期。収量も安定して多くなるため、値段も下がります。栄養価も走りに比べると、ずっと高くなるといわれています。

 春が旬の野菜は、タケノコや山菜などに代表される「芽ぶきもの」と呼ばれるもの。ほんのり苦みがある味わいが特長ですが、これはアルカノイドという苦み成分を含んでいるから。この苦みが胃腸の働きを活発にしてくれ、冬の間にたまった毒素を排出してくれるという話もあります。

卵と合わせて栄養バランスアップ

アスパラガスの卵ソース
アスパラガスの卵ソース

 今回紹介するのは、春の芽吹き野菜「アスパラガス」を使ったイタリア料理「アスパラガスの卵ソース」です。

 イタリアでも4~6月は、アスパラガスが出回ります。有名なブランド野菜でもある「白アスパラガス」は、アスパラガスが芽吹いて成長する間、盛り土をして光を遮断して育てたもの。昔は上流階級の人しか食べられなかったため、今でも高級野菜の一つとなっています。

 イタリアでは、パスタに使うのはもちろん、リゾットやフライなどさまざまな食べ方で楽しみます。中でも北イタリアで人気の食べ方は、まるごと茹でてから卵を合わせていただくというもの。アスパラガスのほんのりとした苦みを、卵がまろやかにしてくれます。この時期になると、丸ごと茹でたものをお皿に何本も乗せ、メイン料理として提供するレストランもあるほどの人気の一品です。

 アスパラガスの栄養の中でも有名なのは「アスパラギン酸」。アスパラガスから発見されたアミノ酸で、乳酸を分解し、疲労回復を促し、滋養強壮にも役立ちます。また穂先に多く含まれるルチンは血行を促進し、かつ血管を丈夫にするという効能があります。

 さらにグリーンアスパラガスは、ビタミンB群やCを含んでいますので、風邪予防などにも役立ちます。イタリア式の食べ方のように卵を合わせると、栄養バランスの優等生。卵に不足しているビタミンCや食物繊維を一緒に摂取できるので、さらにバランスのよい副菜となります。ぜひ、旬の盛りの時期の食材を、食卓に登場させてみてください。