日本では、大みそかに年越しそばを食べ、お正月にはおせち料理を食べるのが定番ですが、パスタやピッツァの国イタリアでは、レンズ豆の煮込みとザンポーネやコテキーノという豚肉の加工品を食べる習慣があります。
レンズ豆は、凸レンズ(光学レンズ)に似ていることから命名された扁平(へんぺい)な小さな豆。丸みのある形がコインにも見えることから、昔から富や金運を上げる食べ物として人気がありました。年末にレンズ豆を食べるという習慣は、富や繁栄を祈るというゲン担ぎから生まれたものでした。
日本のおせち料理の黒豆も「マメに暮らす」と無病息災を願ったもので、国によって習わしは色々あるものですね。
タンパク質、ビタミンやミネラル豊富
豆は、大豆とそのほかに大きく分けられますが、いずれにしても植物性のタンパク質が豊かな食品です。ビーガンやベジタリアンにとっては重要なタンパク源となっているほか、ミネラルやビタミンも豊富で、成長期にはぜひ取り入れたい食材のひとつです。特に、エネルギー代謝に必要なビタミンB群や体の維持・調節に大切なカルシウム、リン、鉄、亜鉛などをバランスよく含んでいます。
また、食物繊維も豊富です。乾燥豆は戻す手間があり、忙しい現代人にはなかなか手を出しづらい食材かと思いますが、レンズ豆はとても小さいので、ゆでてしまえばすぐ食べることができます。最近はうずら豆、ひよこ豆、インゲン豆など水煮も出回っているので、日々の食事に上手に豆類を取り入れてみてはいかがでしょうか。
今回は、「豆とベーコンのトマト煮込み」を紹介します。レンズ豆とキドニービーンズを使っていますが、レンズ豆単体でも、好みの水煮の豆などと合わせても良いですし、ベーコンを加えると良いだしがでます。
そのままパンやご飯と合わせても、マカロニと合わせてチーズをかけてグラタンにしてもOK。ボリュームたっぷり、ミネラルたっぷりの一食が出来上がります。おせちに飽きたらイタリアン。今年もしっかり食べて、元気な体を作っていきましょう。
【料理家・山内千夏】