「ゴッドファーザー」や「ニュー・シネマ・パラダイス」などの名作映画の舞台となった南イタリア・シチリア島。南の島部らしく、ナスやトマトなどの野菜、アーモンドやピスタチオなどのナッツ類、レモンやオレンジのかんきつ類などを使った名物料理が数多く見られます。
今回は、そんなシチリア島の名物パスタのひとつを紹介します。
「ノルマ風パスタ」。シチリア島の東部にあるカターニャという街で生まれました。
バジルの香りをしっかり吸い込んだトマトソースで和え、香ばしく揚げ焼きしたナスを添える、シチリアの名産が詰まった一品です。
カターニャ出身ベッリーニの代表作
この「ノルマ風」という名前は、何が由来なのでしょうか。
たいてい「○○風」という料理は地名が付いたものが多いのですが、このパスタはカターニャ出身の作曲家、ヴィンチェンツォ・ベッリーニのオペラ「ノルマ」から命名されました。
地元の誇りであるベッリーニの代表作を、これまた地元の名産品であるナス、トマトをふんだんに使ったパスタに名付けるのは、郷土愛の深いイタリア人ならでは。こっくりとうま味の詰まったトマトソースと揚げナスの組み合わせが、まさに「完璧」なおいしさだったことから、ベッリーニの「完璧」なオペラをなぞらえるあたり、イタリア人の美食度がよく分かります。
日本のナスのおいしさアレンジ
今回の「ナスとトマトのノルマ風パスタ」では、日本のナスのおいしさをプラスするために、ペースト状にした焼きナスをトマトソースに忍ばせる方法を紹介しています。
ナスは水分量が多く、昔から身体を冷やす作用があると知られています。ちなみに、有名なことわざ「秋ナスは嫁に食わすな」の解釈は諸説ありますが、「旬でおいしいナスを嫁に食わせるのはもったいない」というお姑さんのいじわるではなく、最近では「おいしくて食べすぎると身体を冷やすので、子孫を残すお嫁さんにはあまりよろしくない」というお姑さんの愛情がこもったものだと言われています。
皮ごと食べてナスニン摂取
また、ナスの皮には抗酸化作用があり、活性酸素を除去、血液を浄化する「ナスニン」という特有のポリフェノールが含まれています。皮の色素に含まれているので、ナスニンの効果を取り込むためには色の濃いものを選んで購入しましょう。
夏から秋へ移ろうこの季節、旬の野菜を上手に取り入れて、気温の変化に負けない身体作りをしていきましょう。