太りたくない、指導者からやせるようにと言われたといった理由で、ご飯を食べないなど間違った減量法をした結果、パフォーマンスが悪くなったという選手の話を耳にします。
最近では「糖質オフ」や「糖質制限」という食事法がはやっているようですが、糖質は効率の良いエネルギー源です。運動のためだけではなく、生命を維持する基礎代謝のためにも、必要なエネルギーの半分以上を糖質から摂るのが望ましいと言われています。
筋肉の分解防止のために
そもそも「運動後の食事にはタンパク質」と思っている選手が多いのですが、糖質も必要だということをご存知でしょうか?
食事から摂った糖質は消化吸収され、筋グリコーゲンという形で筋肉の中にエネルギー源として貯蔵されます。運動後は筋グリコーゲンが枯渇した状態になるので、補給しなければなりません。それをしないと、私たちの体は脂肪と筋肉を分解して筋グリコーゲンを回復させようとします。つまり、筋肉の分解につながってしまうのです。
運動後の糖質補給は、筋肉の分解防止と疲労回復のためにとても重要です。
また、糖質を補給するとインスリンというホルモンが分泌され、血糖値を下げるだけではなく、筋肉の合成を促進する働きもあります。
なるべく早く糖質を補給することで、速やかに筋グリコーゲンを回復させることができ、筋肉の合成促進にもつながります。運動後はなるべく早いタイミングで、おにぎり、バナナ、エネルギー補給のためのゼリー飲料などを摂ると有効です。
毎日の食事ではご飯、パン、パスタ、麺類など主食をしっかり摂り、基本の食事の形を整えていきましょう。
写真は「ショウガ入りほうとううどん」です。糖質をエネルギーに換える働きのビタミンB1やタンパク質を豊富に含む豚肉と油揚げ、ビタミンB1の吸収率を上げるアリシンを含む長ネギ、カボチャ、小松菜といった緑黄色野菜、体を温める働きのあるショウガを使っています。
寒い季節には体が温まるメニューが良いですね。カボチャは糖質が多い野菜なので、主食だけで糖質を増やせない時にもオススメです。試合前の食事としても活用してください。
【管理栄養士・石村智子】