「みんなで楽しく食べているから」

08年北京オリンピックの選考会では、100メートル背泳ぎで日本新をマークし優勝。念願のオリンピック切符を手にした。戦える体を、自分の力で作り上げた。

北京オリンピック代表選考を兼ねた日本選手権、女子100m背泳ぎで日本新で優勝した伊藤華英さんの泳ぎ(2008年4月17日撮影)
北京オリンピック代表選考を兼ねた日本選手権、女子100m背泳ぎで日本新で優勝した伊藤華英さんの泳ぎ(2008年4月17日撮影)

食事に関して、伊藤さんが今でも印象に残っている言葉がある。日本代表チームに帯同する管理栄養士が言った「競泳チームはいつも楽しく、ワイワイ言いながら食べているから強いんだね」というひと言だ。

北京オリンピック水泳日本代表の発表会見でガッツポーズする左から末永雄太、森田智己、北島康介、中西悠子、伊藤華英、中村礼子の各選手(2008年4月21日撮影)
北京オリンピック水泳日本代表の発表会見でガッツポーズする左から末永雄太、森田智己、北島康介、中西悠子、伊藤華英、中村礼子の各選手(2008年4月21日撮影)

食べたものは、消化吸収されなければ身にならない。よりよく消化、吸収させるにはリラックスした状況、副交感神経が優位であることが重要で「つまらない人とつまらなく食べているよりも、楽しく食べた方がいい」が、今もモットーだ。

「もし、しっかりご飯を食べているのに体が大きくならないと思っているジュニア選手がいるなら、楽しく食べているか考えてみて」と話す。アスリートにとって食事はトレーニングだが、その前に食べる楽しみを忘れないことが大切だ。

【アスレシピ編集部・飯田みさ代】

◆伊藤華英(いとう・はなえ) 1985年(昭60)1月18日、埼玉県大宮市(現さいたま市)生まれ。東京成徳大中-東京成徳大高-日大。背泳ぎ選手として活躍。世界選手権は01年から4大会連続で入賞し、08年北京オリンピック100m8位。左膝痛などから10年に自由形に転向し、12年ロンドンオリンピックに出場した。同年の国体後に引退し、早大学術院-順大大学院。現在は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のメンバーとして活動。日大非常勤講師も務める。