寮の完成で食生活が劇的に改善
これまでは借り上げの寮で、仙台市若林区の薬師堂キャンパスから自転車で片道40~50分かかる場所にあった。午前7時から始まる朝練には、5時に起床して6時前には出発しなければならなかった。全体練習後は、自主練、体のケアや着替えもあり、帰寮するのは早くて午後9時すぎ。女子高生にとって、東北の冬は特につらい登下校だった。当然、朝晩の食事もおろそかにならざるをえなかったが、寮の完成で食生活が劇的に改善された。
昼は学食を兼ねる広々とした食堂に、練習を終えた選手たちが、集まってきた。個々の練習の都合に合わせ、6時半から8時半まで提供可能。気の合う者同士、思い思いテーブルを囲み、笑顔が絶えない。この日の夕食メニューは「蒸し鶏のネギ塩ソースがけ、揚げ出し豆腐、野菜サラダ」。ご飯とみそ汁はおかわり自由だ。青森出身でレギュラーFW桜庭琴乃選手(3年)は「おいしいしバランスがとれているので、力が出ますね。ご飯がおいしいから、そのために頑張れるって感じです」。選手たちにとって元気の源となっている。
グラウンド、食堂(校舎)、寮がいずれも徒歩1、2分の範囲に位置する最高の環境だ。練習後も、ジャージー姿のまま、すぐに食事ができる。チームの中心でもある3年生トリオ、愛知出身の宮田あすか主将、三重出身のDF夏目歩実選手、奈良出身のMF野中花選手は「とにかく寮が近くなったので、めっちゃうれしかったです」とそろって声を弾ませた。登下校の苦しみ?から解放された喜びがにじむ。宮田主将は「朝も今までより1時間多く寝られて、食事もしっかりとれるし、練習後もすぐに食事できるのがうれしい」。夏目選手は「自主練も思う存分できるようになった」と効果を口にした。どんぶりいっぱいにごはんを盛る宮田主将に「あすかはこんなに細いのに、ごはんめっちゃ食べるんですよ」と野中選手は笑った。まさに「食は心なり」の和気あいあいの光景が垣間見えた。
次のページ女子選手用に工夫された料理