鉄は必須ミネラルの1つで、貧血予防などアスリートのコンディション調整において大切な栄養素です。酸素を輸送するヘモグロビン(血液中)、ミオグロビン(筋肉中)の構成成分としての働きがよく知られていますが、そのほかにも次のように様々な働きを持ちます。
●エネルギーであるATP(アデノシン三リン酸)をリサイクル(再合成)する時に、再合成工場であるミトコンドリアの中に存在して働く
●毒性をもつ汚染物質の除去に、鉄を含む酵素が関わる
●抗酸化作用のある酵素(ペルオキシターゼ)に含まれ、活性酸素によるダメージから細胞を保護する作用
●遺伝物質(DNA)の合成する際に必要な酵素になる
食事摂取基準では、15歳~17歳の1日における推奨量は男子で10mg、女子で7mg(月経中は10.5mg)とされていますが、汗をたくさんかいたり、持久的な運動を行うときはさらに多くの鉄が必要になります。毎日の食事で、鉄を豊富に含む食材を意識して摂るようにしましょう。
今回は「キクラゲと卵の中華炒め」を紹介します。キクラゲは鉄が多く含まれる食材で、ピーマンのビタミンCによって鉄の吸収率を高めることができます。
参考文献:スポーツ栄養学ハンドブック ダン・ベナードット著 寺田新訳 東京大学出版会 2021
【管理栄養士・田澤梓 】