どうしてあめ色タマネギは甘いの?

タマネギの中には、タンパク質を構成するアミノ酸の一種、硫黄化合物があります。これが辛味の元で、またブドウ糖などの甘い糖類の成分も含まれています。

辛味である硫黄化合物は熱によって揮発・分解しやすいので、加熱すると、どんどん空気中に飛び出したり、壊れたりして消えていきます。一方の甘い糖類は揮発・分解しにくいので、タマネギを炒めると辛味がなくなり、甘味成分が残るため、甘くおいしく感じるのです。

タマネギを切って泣かないために

タマネギの調理で気になるのは、切った時に目に染みることですよね。これもタマネギに含まれている硫黄成分の1つが原因です。これは催涙ガスと同じような成分で、「タマネギを切る=細胞を傷つける」と酵素が働いて目に染みるので、包丁でみじん切りにするほど涙が出てきます。

では、どうしたら防げるのでしょうか。

酵素が働くと目に染みるわけなので、その働きを弱めればいいのです。

酵素は高温、低温に弱いため、切る直前まで冷蔵庫で冷やす、切る前に電子レンジにかけるといったようにすると成分が働きにくくなり、目に染みづらくなります。ハンバーグを作る際、みじん切りにするのもいいですが、今回のようにあめ色タマネギを混ぜ込んでしまうのもおすすめです。

<あめ色タマネギのオニオンスープ>

材料(4人分)
・タマネギ…1玉
・重曹…小さじ1/2
・オリーブ油…小さじ1
・コンソメ…1かけ
・水…400cc
・塩、コショウ…少々

作り方
1.タマネギは皮をむいて薄くスライスしておく。
2.スープ用の小鍋に火にかけて、オリーブ油でタマネギと重曹を投入して中火で炒める。
3.数分たってあめ色タマネギになったら、水とコンソメを入れて沸騰させる。
4.なじんだら塩、コショウで味を調える。
(※重曹の割合の目安は、タマネギ1個に対して小さじ1/2~小さじ1ほど。入れると反応は進みますが、入れすぎると重曹のアクの苦さが出るので調整してください。)

オニオンスープを耐熱容器によそり、フランスパンと溶けるチーズをのせて、トースターやオーブン180℃でこげ目がつくまで焼いたら、オニオングラタンスープになります。また、冷凍のミックスベジタブルを入れて、色とりどりのオニオンコンソメスープにしたり、サラダチキンや鶏のささみを入れたりと、さまざまなアレンジもOKです。

まだまだ寒い季節。簡単な一品料理をプラスして、心も体も温まりませんか。

「キッチンは実験室」では今後、科学でもっと調理が楽しくなる実践的なお話もお伝えしていきたいと思います。テーマや内容のご希望は、いつでも募集中です。

テーマや内容のご希望はこちらまで:KKPテーマ要望(メールが立ち上がります)