江戸前の天ぷらがゴマ油の訳
天ぷらを揚げるときの油にも、色々な油があります。大豆油、ゴマ油、菜種油、ひまわり油…これらによって香り、油の味、口当たりが変わります。
「江戸前の天ぷらはゴマ油で」という言葉がありますが、江戸前とは東京湾でとれた海産物のこと。特にハゼ、カレイから味、サバまで青魚が獲れていたようでした。
青魚は独特のクセがあり、鮮度が落ちると不快なにおいが出やすいため、香りが一段と優れているゴマ油が好まれたと言われています。さらに、青魚を揚げると油の酸化が進みますが、ゴマ油には強い抗酸化作用を含む物質が含まれているため、劣化が進みにくいことも使われていた理由だと言われます。
なお、天ぷらの揚げ油には地域性があり、関東風はゴマ油を使って黄色く上げますが、関西風は綿実油で白く揚げると言われます。揚げ物1つとっても、食文化の違いは面白いですね。
ナスを揚げると鮮やかになる
ナスの紫色は、アントシアニン系の「ナスニン」と呼ばれる色素です。この色素は水に溶けやすく、熱に不安定で100℃以下の熱湯で変色する特徴があります。ナスのみそ汁はナスを煮すぎると色が抜けて汁に溶け出し、青紫色になる場合があります。
一方で100℃以上の温度で揚げると、色素が安定、鮮やかな紫色になるほか、表面が油でコーディングされ、色素が溶け出しにくくなります。ナスの色素はスポンジ状で油を吸収しやすいため、油で揚げることで独特の揚げ風味と油の滑らかさが加わり、こってりとした食べ応えも出てくるのです。
冷凍コロッケを爆発させないコツ
大量に作って冷凍しておいたコロッケを揚げたら、爆発した経験はありませんか? コロッケはフライよりも爆発しやすいのです。
その理由として、コロッケの具はマッシュしてあるため空気が入り込み、冷凍で中の水分も凍り、コロッケの中に氷の粒ができます。揚げ油は180℃になると気泡や氷の粒が熱膨張し、体積が増えますが、周りの衣が揚がって固まってくるので、中から押し上げるようにコロッケが中央から割れてしまうのです。
コロッケを爆発させないためには、様々な方法があります。先に電子レンジの解凍モード(200Wで片面30秒ずつ両面)にかけて、揚げ油の温度差を少なくする方法があります。ふにゃっとなる前に止めるのが目安です。
また、油の量を多くすることで、冷凍コロッケを入れても油の温度を下がりにくくする方法もあります。2、3個ずつ分けて入れるのもポイントです。すでに、中まで火が通っているので、表面をカリッと揚げれば完成です。
ポテトチップスを作ろう
油の温度の違い、料理のコツは分かりましたか? これらを元に、ポテトチップスを作ってみましょう。
■手作りポテトチップス
<材料>
・ジャガイモ…2玉
<作り方>
(1)ジャガイモはスライサーでスライスする
(2)水の張ったボールに入れる。しっかりとでんぷんを落とす
(3)キッチンタオルでしっかりと水分を拭きとる
(4)油をいれて160℃で揚げる
(5)ジャガイモから気泡(水分)が出なくなり、色づき始めたら180℃でカラッと揚げる
(6)熱いうちに塩をふって出来上がり!お好みで青のりやコンソメなどを加えてください。
なお、ジャガイモは水でさらすことで、でんぷんの糖分が抜けて、焦げにくくなります。