<キッチンは実験室(42・下):うま味の科学>

「おいしさ」にも様々な意味やとらえ方があると、「うま味の科学(上)」でお伝えしましたが、脳科学の世界で、快楽の視点から味覚を3つに分類して説明しているものがあります。

Like型(すき!)=糖分(甘いお菓子)
Want型(もっともっとほしい!)=脂肪(油もの)
Learn型(満足!)=うま味(だし)

Like型は「ひと夏の恋」

Like型の糖分は、摂るとその瞬間は満たされますが、すぐに物足りなくなって、また次が欲しくなります。しかし飽きが来るのも早いとされています。

例えば、空腹時にチョコ1粒を食べると、一瞬満たされるのですが、数分後にまた食べたくなり、いつの間にか1箱食べきってしまうことも。ただ、食べすぎると甘すぎてしばらくチョコはいらない…例えるなら「ひと夏の恋」というイメージでしょうか。

Want型は「泥沼の不倫」

Want型の油そのものは味がありませんが、ポテトチップス、ケーキといった塩分や糖分と一緒にとると、脳が快楽を感じて、際限なく欲しくなると言われています。ポテトチップス、唐揚げなど知らない間にどんどん食べてしまって止まらない、揚げ物やラーメンが日常化している中年男性のイメージでしょうか。例えるなら、まさに「泥沼の不倫」です。

これらのLike型とWant型は厄介なことに、アッパー系(興奮作用)とも呼ばれ、脳の瞬間的な快楽が大きく、中毒症になる可能性も指摘されています。確かに、甘いお菓子としょっぱいジャンクフードの組み合わせは、やめられなくなる人が多いですよね。

Learn型はホッとする

最後にLearn型のうま味。例えば、海外旅行に行った時に、しょうゆで味わう寿司やうどんが無性に食べたくなることがありますよね。和食の会席料理の最後に出てくるお吸い物を飲むと、ほっとする感じと言われています。余韻が長く続いていくような、快楽の世界ではダウナー系(鎮静作用)とも言われています。

薄味で満足する人と、味が濃いのが好きな人の違いは、味覚の細胞と快楽の結びつきの度合いによるのではという考え方もあります。でもご安心ください。味覚の細胞は2週間程度で入れ替わるので、いつでも自分の味覚は変えることができます。

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