本みりんを入れると煮崩れない
みりんの効果の1つ「煮崩れ防止」を科学的に説明していきましょう。
野菜に含まれる食物繊維(ペクチン)は、細胞と細胞を結びつける接着剤の働きをもちますが、熱に弱いのが特徴です。煮物を作るときにニンジンが柔らかくなるのも、ジャガイモをゆでてマッシュポテトにできるのも、このペクチンが加熱によって溶けて柔らかくなるのが理由です。
一方で、サツマイモのレモン煮や五目大豆のニンジンは、pHが低いと煮崩れしにくいとも、以前のコラムでお伝えしました。本みりんのpHは約4.9と低く、酸性寄りです。このアルコールの酸性の働きがペクチンの結合を強くするため、煮崩れしにくくなると考えられています。
照り、つやがでるのはなぜ?
では、みりんを使うと照りやつやを出せるのはなぜでしょうか。みりんには、トレハロースなど9種類以上の糖がありますが、糖は水の分子と結合しやすいため、保水効果が高くなります。また、糖還元糖という焦げやすい糖に分類され、メイラード反応が起こりやすいため、焼き色や香ばしい香りがつくのです。さらに糖は、魚のアミノ酸とくっついて生臭さを消す働きもあるため、魚料理に必須の調味料とも言えます。