日本酒と本みりんの違い
さて、ここで次のような疑問をお持ちの方はいないでしょうか。
「米と米麹を発酵させてできるといえば、日本酒では?」
「料理酒とみりんの使い分け、どうやるんだっけ?」
日本酒と本みりんの違いを説明し、消臭効果についても触れていきます。
●日本酒
・材料(うるち米・米麹・水) 発酵させて作る
※食塩や副原料を加え、飲めないよう処理しているのが「料理酒」。
・アルコールとタンパク質のうま味を引き出す→素材の臭みを消す。素材を柔らかくする。
・主な料理=煮魚、汁物、アサリの酒蒸しなど
●本みりん
・材料(もち米・米麹・焼酎) 熟成させて作る
・甘さを際立たせるが、焦げやすい→甘味+アルコール分による煮崩れ防止。素材を引き締める。
・主な料理=野菜の煮物、照り焼きなど
日本酒もみりんもアルコール分が入っているので、蒸発する際に肉や魚など素材の臭みをとり、コクやうま味を生み出します。みりんは熟成過程で発生する化合物(化学的消臭作用)によって、魚の臭さを取り除きます。
アルコールは分子量が小さいので素早く食材に味を染み込みやすくできます。みりんは甘さがあるので、浸透圧の力で素材を引き締め、照りを出す効果もあります。
ただし、みりんの糖によって焦げには注意が必要です。「お絵かきホットケーキの秘密」でも紹介しましたが、焦げの原理は、タンパク質のアミノ酸と糖の加熱によるメイラード反応(※2)。そのため、照り焼きやどら焼きの皮などに使うと、はっきりと焦げ色がつきます。
まとめ:みりんの料理への効果
みりんの料理への効果を簡単にまとめると、「砂糖」と「お酒」と「熟成によるアミノ酸」の相乗効果があるということです。普段何気なく使っていた調味料にこんな効果があると知ったら、もっと活用したいと思いますよね。
冒頭で「みりん」と記していたものは、「本みりん」のこと。本みりんに含まれる①糖類(グルコース、イソマルトース、オリゴ糖など)、②アミノ酸(グルタミン酸、ロイシン、アスパラギン酸など)、③有機酸(乳酸、クエン酸、ピログルタミン酸など)、④香気成分(フェルラ酸エチル、フェニル酢酸エチルなど)によって、次のような効果が生まれるのです。
●優しい甘味
●豊かなコクとうま味
●消臭効果
●照りやつや
●煮崩れ防止
みりんだけで!リンゴのコンポート
それでは、砂糖を使わず、みりんで甘さをつけた「リンゴのコンポート」を作ってみましょう。スライスしたリンゴを小鍋に入れ、みりんをひたひたにいれて煮るだけで、やさしい甘さのコンポートが出来上がります。
そのまま食べるだけでなく、アイスと一緒に、またアップルパイのフィリングに使っても良し。時間がたってやわらかくなったリンゴも美味しく大変身します。
<材料>
・リンゴ…1玉
・みりん…100ml(ひたひた程度)
<作り方>
(1)リンゴは芯をとりスライスする
(2)小鍋にリンゴをいれて、みりんをひたひたに注ぐ
(3)5~10分、弱~中火で煮る。柔らかく照りがでたら出来上がり!
※参考1:
・ お菓子がご飯の代わりにならないのはなぜ?「糖化」のしくみ/キッチンは実験室(29)
・ 甘酒は2種類ある、子どもも飲める米麹由来は「飲む点滴」/キッチンは実験室(36)
・ 気のせいじゃなかった!石焼き芋が甘い理由/キッチンは実験室(19)
※参考2:
・ お菓子を食べすぎると、からだが焦げる?/キッチンは実験室(1)