ぬか床を作る材料は

ここからは実際にぬか床を作り、ぬか漬けにトライすることを前提にお話していきましょう。

まず、ぬか漬けを始めるには用意するものが多く、ハードルが高いと思っている人もいるのではないでしょうか。実は私もその1人でしたが、やってみたら意外に簡単でした。ぬか、塩、水でぬか床は完成。そこに日々野菜を出し入れすることで、独特の風味が作られるのです。

今は、すでに材料がセットしてある「ぬか漬けの元」というキットも販売されています。

ぬか漬けに絶対に必要なもの
・米ぬか=乳酸菌の住みかとなる。ビタミンB1に代表されるビタミン群やミネラルを含む
・塩=浸透圧による脱水作用で野菜の水分を追い出し、漬物に。乳酸菌を活発にし、腐敗菌を抑える
・水=ぬかに水分を与えて発酵しやすい環境を作る

ぬか漬けを作るのにあるといいもの
・唐辛子=殺菌効果、防腐効果、ピリッとした辛味の味
・山椒=香りがよくなる
・煮干し・昆布・干し椎茸=うま味を増してくれる
・野菜の捨てがら=ぬか床で乳酸菌を増やしてくれる働き。大根やキャベツ、キュウリなど
・柑橘系の皮=ゆずの皮など清々しい香りがプラスされる

ぬか床で最初の作業「捨て漬け」

これらの材料を用意しても、実はすぐに漬け始めることはできません。その前に「捨て漬け」というプロセスがあります。最初にくず野菜を漬けて、捨てての作業を約1週間繰り返すのです。

これは科学的にどんな意味があるのでしょうか。実は、ぬか床を作ったとしてもいきなり乳酸発酵するわけではなく、床を作る必要があるのです。

生ぬかについている乳酸菌は最初、15%程度でしかなく、土壌の細菌が80%以上を占めています。そこで捨て漬けをすることで乳酸菌がぬかの糖分を食べて増殖し、乳酸菌が乳酸を生み出すと酸性となります(pH4.6~4.8)。

酸性になると細菌の数が減り、乳酸菌が有利になって元気になります。ph4.5以下になると乳酸菌と酵母が増え、乳酸菌による乳酸発酵、酵母菌によるアルコール発酵、アミノ酸発酵が起こります。このように「捨て漬け」の作業は、ぬか床に乳酸菌を入れて発酵させるために必要なことなのです。

<捨て漬けによる副産物>
・香り=酵母菌による糖質、アミノ酸発酵による香り、米ぬか油の分解物
・味わい=乳酸菌による野菜の糖質の発酵(酸味)

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