「暑いですね~」があいさつになってしまっている今日この頃。子どもたちからは「余計に暑く感じるから言うのやめて」とたしなめられ、息子は反抗期、母は更年期。かみ合わなくて当然と割り切っております。
さて、この猛暑の中、運動する皆さんも応援する保護者の皆さんも、どんなに水分補給しても追いつかないぐらい汗が出ますね。この季節、脱水や熱中症のほかに心配なのは「貧血」です。汗の中には鉄などのミネラル分も含まれるので、貧血が起こりやすくなります。
体内の鉄の60~70%が血液中にあります。血液に存在する鉄はタンパク質と結合して、赤血球中のヘモグロビンの構成成分になります(これらの鉄分のことを「機能鉄」と呼びます)。鉄の主な効果は、肺から供給された酸素を全身の細胞に運搬することで、運動時に、より多くの酸素を運搬し続けられるかがパフォーマンスに大きく関わってきます。
残り20~30%の鉄分は肝臓や脾臓(ひぞう)、骨髄などに蓄えられ、「貯蔵鉄」と呼ばれています。機能鉄が足りなくなると、貯蔵鉄から補いますが、量が追いつかなくなると酸素が供給しづらくなり、頭痛やめまい、動悸、息切れ、疲労感などの貧血症状が現れてきます。
鉄不足の原因には病気による慢性的な出血によるものや、赤血球の生成や寿命に問題のある場合などさまざまです。ここでは運動によって鉄が不足する場合や女性と貧血についてお話します。
ジュニア選手、特に女子は足りなくなる
■スポーツ性貧血
比較的ハードなスポーツを継続的に行う競技の選手に起こりやすい傾向にあります。汗と一緒に失われたり、ハードトレーニングで血尿が出たり、長距離選手特有のタール便などに排泄される鉄の消失。あるいはマラソン、バレーボール、バスケットボールのように足底へ繰り返し衝撃がかかるスポーツや、ラグビーや剣道のように体に衝撃のかかるコンタクトスポーツでは血液中の赤血球が破壊される溶血が原因となって、貧血が起こります。
特に成長期の選手は血液を作る以外にも、体を構成する組織づくりにも鉄が使われます。つまり、ジュニアアスリートは、いくらあっても足りない状態になりやすいということです。
■女性と貧血
さらに成長期の女子選手の場合は、月経による失血が加わって貧血を増長しますので、特に注意を要します。
最近では朝食を抜くなどの食に対する意識の低下、過度のダイエットによって十分に食事を摂らないため、鉄の摂取不足になる選手がいます。これに運動による消失が加わると、さらに深刻な貧血を引き起こしかねません。男子選手に比べて、普段の食事から鉄を多く摂ることがすすめられています。
もちろん、鉄不足以外にも貧血の原因は色々ありますので、心配な方は一度しっかりと検査してみてください。
水分は捨てずに一緒に使って
今回紹介するレシピは、鉄を多く含む食材、アサリを使った「缶たんパエリア」です。“缶”詰と“簡”単をかけたネーミングです。文字通り、缶詰を使い、炊飯器一つで簡単にできちゃいます。
アサリは鉄のほかにも、アスリートにとって重要な亜鉛やカルシウムといったミネラルやビタミンB群、疲労回復効果が期待されるタウリンなどを豊富に含みます。鉄やビタミンB12は貧血予防に加え、肝臓機能を強化する効能もあります。
アサリは生食ができず、加熱しないと食べられないのですが、時間のかかる砂ぬきが面倒だったり、夏の暑い時期は火をあまり使いたくなかったりします。そんな場合には市販の水煮の缶詰を利用すると便利です。アサリの水煮缶の水分にはうま味と栄養成分がたっぷり含まれているので、捨てずに一緒に使うのがポイントです。
鉄は吸収しづらい栄養素ですが、ビタミンCと一緒に摂ると吸収率が高まるといわれています。ぜひ夏の貧血予防にお試しください。