成長期の選手や保護者からよくある質問に「牛乳が苦手で、カルシウム不足が心配だ」というものがあります。ケガをしない強い骨を作り、筋肉の収縮や集中力にも大きく作用するカルシウムは、1日にどのくらいとるのがいいのでしょうか。
カルシウムは1日にどれくらいとればいいのか
厚生労働省が発行する日本人の食事摂取基準2020年版によると、ジュニア世代の推奨量は、1日に650mgから1000mgです。上の図を見てわかる通り、この年代は人生の中で一番多くのカルシウムが必要な時期であると言えます。
牛乳コップ1杯(200ml)に含まれるカルシウムは220mgです。成長期の子どもが必要な量は、牛乳に換算すると毎日コップ3~5杯ということになります。学校給食がある場合、毎食200mlの牛乳がついているので、そこである程度のカルシウム量をカバーすることができます。
牛乳以外にもあるカルシウム豊富な食材
牛乳が苦手だったり、飲めない体質だったりする場合は他の食材からカルシウムを摂取しましょう。体内吸収率が高く、効率良くカルシウムをとれるのは牛乳ですが、それ以外の食材をコツコツとることで、カルシウム不足を補えます。
牛乳が飲めなくても、ヨーグルトやチーズなどの乳製品がとれるなら、それらを積極的に利用しましょう。ヨーグルトは免疫力が上がるとされ、風邪や花粉症の症状を和らげる効果も期待できるため人気があります。チーズは小分けになっている商品がほとんどで、持ち運びできるのも便利ですね。塩分も摂取できますし、試合の合間に食べている選手も多く見られます。
上の図は、乳製品以外でカルシウム含有量の多い食品を示したもので、大きく分けて①大豆製品、②魚介・海藻類、③緑黄色野菜のグループがあります。シラスやちりめんじゃこなどの小魚、ワカメなどの海藻類、納豆や豆腐などの大豆製品を毎日とり、食卓にはいつもゴマなどを置いておき、ご飯やおかずに振りかけるよう習慣づけると、量がとれるようになってきます。
「子どもに牛乳を飲ませたくない」保護者も
一方で、「牛乳」が話題になると、「乳製品は日本人に合わないと聞くが、飲ませていいのか」と、子どもにアレルギーがあるわけでも嫌がっているわけでもないのに、牛乳を飲ませたくないという保護者がいます。そんなとき、私は「飲んだほうがいい」と答えています。
もちろん、乳アレルギーや、乳糖不耐でおなかの調子が悪くなる人は避けるべきです。しかし、手軽にカルシウムがとれる牛乳は、成長期のアスリートにとってメリットの方がたくさんあります。様々な理由によって「乳製品を摂らない」という選択をするのは、成長期が終わってから子ども本人が決めること。保護者が飲ませないのではなく、自主性に任せましょう。
最近では、牛乳のタンパク質が熱中症や筋肉疲労の予防に効果があるという研究結果も出ています。アレルギーや乳糖不耐でない限り、間食やおやつに牛乳やチーズなどを取り入れてください。カルシウムは汗とともに体外に出ていってしまいますので、積極的にスポーツをする皆さんはさらに多くのカルシウム確保を意識していきましょう。
今回は、牛乳1本分のカルシウムがとれる「小松菜とじゃこのカルシウムチャーハン」を紹介します。静岡県は、シラスの生産量が全国トップクラス。以前紹介した「おかわり続出!粉末だしご飯」をベースに作ります。
この「だし」に何を使うかで、栄養価も変わってきます。市販の「顆粒だし」には塩や砂糖、うま味調味料が添加されていますが、いりこ(煮干し)、かつお節、昆布やシイタケの粉末だけで構成されている粉末だしや、だしパックの袋を破って中身を使用するなどすると、素材そのままのミネラルがとれます。そのような工夫もしてみてくださいね。