前回のコラムでは、私がかつてよく利用していた宿泊施設での食事を再現したレシピ「サケと野沢菜の混ぜご飯」を紹介しました。

その宿泊施設ではできる限り、やれることはクラブのメンバーで行いました。食事は作ってもらうにしても、食べる際の配膳、食器洗い、乾いた食器を戻すこと、食堂の清掃などはすべて自分たちで行ったのです。

残飯が出てしまうと、食品衛生上、捨てなければなりません。当時、食事が残った場合は食事係が責任をもって食べることになっていたので、配膳の段階で残らないよう盛り分け、自然と“完食教育”が出来ていました。この流れをくみ、現在、私の合宿所でも配膳と片付けは「食事係」にやってもらっています。

「野菜嫌い」の克服のために

食事では「野菜嫌い」が多いことは分かっていても、あえて野菜を出します。特に合宿のシーズンの7月下旬から8月は、八ヶ岳の高原野菜のおいしい季節とも重なるため、一口でも多く食べて欲しいのです。子どもたちは「野菜には味がない」と嫌がるので湯むきし、ほんのり味をしみこませたミニトマトや野菜たっぷりのスープ、野菜たっぷりのキーマカレーなど、肉の味に助けてもらって野菜をとらせています。

体作りの重要性は、頭では理解してもすぐに行動に直結するわけではありません。野菜を単独で食べる料理だけでなく、肉などと一緒に調理してうま味を付けることで食べやすくなり、気づかないうちに食べていることと思います。

今回紹介するのは「鶏手羽元とサトイモのうま煮」です。イモや野菜が鶏手羽肉のうま味で味付けされている料理です。

主材料の鶏手羽肉と卵で、体作りに必要なタンパク質がとれます。肉と一緒に煮込むことでサトイモにも野菜にも肉のうま味が染みこんで、野菜嫌いな子どもでも箸をつけやすくなると思います。また、野菜も火を通すことでかさが減り、生よりも量がとれるという利点もあります。

このようなメニューを食卓にも加え、合宿だけでなく毎日の食事でも、少しずつ野菜を食べる積み重ねをしてもらいたいですね。栄養はチームで働きます。ぜひ、野菜も食べられる選手になりましょう。

管理栄養士・月野和美砂