大切な大会に向けて競技力を上げることはもちろん、風邪など引かずに万全の体調で臨めるよう努力しているアスリートは多いと思いますが、実は「おなかの悩み」を抱えるアスリートは少なくありません。今回は女子アスリートの悩みにありがちな「便秘」についてお話しします。
腸を整えることはコンディショニングの一環
私たちの身体は食べ物でできており、食べ物で体調を整えています。食べ物を口から入れて自分の身体を作ったり、身体の調子を整えたりするものに変えて行くという作業は「消化・吸収」と言われ、最終的には食べ物の「カス」が便として出されます。この「消化・吸収」を主に行っているのは、小腸、大腸で、腸の働きが悪いと全身の細胞に栄養が行き届かなかったり、逆に腸にたまった老廃物が全身を巡ってしまったりします。
また最近の研究で、腸は「消化・吸収」の他に、体内免疫に最も関わっていることや、うつなどの心の健康に影響するセロトニンを分泌していることなども分かり始めています。多くの役割を持つ腸の健康は、日々のコンディションや試合当日のパフォーマンスを左右すると言っても過言ではなく、腸の健康を保つことがコンディショニングの一環になります。つまり、「便秘」しないことがコンディショニングにおいて大切です。
「便秘」と感じるかどうかは個人差がある
さて、「便秘」とは「体の外に排出すべき便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されているので、個人によって量や頻度が異なります。逆に、「毎日出ていてもすっきりしない」「頑張って出さないと出ない」という状態は便秘と言えます。
便秘の原因は、水分不足や腸内環境が悪いなど様々ですが、便秘になると腸内で腐敗した老廃物が腸内にとどまることによってガスが発生し、下腹部のハリとなって表れることも珍しくありません。便秘予防や改善するためのポイントをお伝えしましょう。
便秘予防1、水分をしっかり摂る
まずは水分をしっかり摂ることです。水分の摂取量が少ないと便が硬くなり、便秘になりやすくなります。夏は発汗量が多くなるので、その分も考えて水分を摂らないといけません。
気温が高い地域や海外に遠征に行くのも同じです。「水分はたくさん摂っています」と言うアスリートが多くいますが、授業の合間や家にいる時など運動していない時に摂れていないことが多々あります。「運動しなくても1.5ℓぐらいは必要だよ」と伝えると、驚くアスリートもいます。
便秘予防2、食べなければカスが出ない
そもそも便は、食べ物の「カス」です。食べているものの量が少なかったり、消費される量が多かったりすれば、カス自体も減ります。もちろん、食べるものの内容によって便の質は変わりますが、減量のために食事量を減らしたアスリートが「便秘で毎日便が出ません」と言うのは、カスにするほどの食事が摂れていないからです。