「甘いものが食べたい」のは糖が足りないから
アスリートだけでなく、「ごはんは食べないけれど、お菓子は食べる」という女子が多くいます。中にはお菓子が食べたいから、ごはんを抜くという傾向は若い女子だけでなく、中高年の女性にも多くいます。
そもそも「甘いものが食べたい」のは、糖が足りないからです。エネルギー不足だから、身体が入れてほしいとサインを出しているのです。ごはんをきちんと食べるようにすれば、甘いものを食べたいという欲求はなくなります。
お菓子は「砂糖」「油」を多く含んでおり、少量でもエネルギーが高いものが多いので、欲求に任せて食べてしまえば、気づかないうちにエネルギー過多になってしまうこともあります。たとえ、ごはんとエネルギーが同じになるような量を食べても身体に入ってくる栄養素は全く違ってきます。それに、お菓子に主菜、副菜を揃えて食べることはまずないと思います。
さらに私の経験では、お菓子を食べるアスリートは体脂肪率が高い傾向にある気がします。ごはんを3食きちんと食べるようにしたら、「甘いものが食べたい気持ちが落ち着いた」「甘いものを検索しなくなった」などという声をよく耳にします。身体づくりとコンディショニングの観点から、アスリートにとって「お菓子」はご褒美や楽しみの範囲にとどめておく方がよいように思います。
今回、紹介するのは「オーバーナイトオートミール」です。
最近、オートミールが流行っているようで、朝ごはんに食べているアスリートが結構います。オーツ麦で市販されているオートミールは加熱加工されており、シリアルのようにそのまま食べられますが、牛乳や水などでふやかして食べることが多いようです。この「オーバーナイトオートミール」も牛乳を加えて冷蔵庫でひと晩置き、バナナや冷凍フルーツをのせて食べるものです。
オートミールは食物繊維が白米の22倍と多く、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方をバランスよく含んでいます。食物繊維が多いので、腸内の善玉菌が増えて腸内環境が改善されて便のカサが増し、腸の動きが活発になります。白米よりもカルシウムや鉄、ビタミンB1を多く含みます。
＜白米とオートミールの栄養素（100gあたり）＞
●白米
エネルギー＝356kcal
タンパク質＝6.1g
脂質 ＝0.9g
炭水化物 ＝77.1g
カルシウム＝5mg
鉄 ＝0.8mg
●オートミール
エネルギー＝380kcal
タンパク質＝13.7g
脂質 ＝5.7g
炭水化物 ＝69.1g
カルシウム＝47mg
鉄 ＝3.9mg
ただ、エネルギー量はごはんと同じ程度ですが、牛乳や水を加えて食べる場合は水分を含むため、1食で食べる分が30～50gと減り、たくさんの量を食べられなければ、エネルギーが不足します。そう考えると、食事ではなく補食として、不足しがちなカルシウムや鉄などを補給するものとして取り入れた方が良いと思います。冬は温めたり、ナッツ類やドライフルーツなどのトッピングを変えたりと、アレンジがききます。
※参考文献：「低糖質食による長期的な効用は認めず,死亡リスクが有意に増加することが示唆された」（Low-carbohydrate Diets and All-cause Mortality: A Systematic Review and Meta-analysis of Observational Studies，PLoS ONE，国立国際医療研究センター研究所 能登洋，http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0055030）
