激甘党でも満足する補食は?
タツヤ君 甘い物でも補食になるものはありますか?
尾澤 激甘党は、そこは譲れないんだね(笑)。あんパンやカステラ、お団子などの和菓子はどうかな? 和菓子は洋菓子と比べて脂質が少ないので消化しやすく、お餅は腹持ちが良いよ。
タツヤ君 和菓子も大好きです。コンビニや売店にも売ってますね。パンを選ぶなら、何がポイントになりますか?
尾澤 触ったときにベトベトするものは脂質が多い傾向があります。カレーパンとかデニッシュ系のパンとか。
タツヤ君 確かに!
尾澤 あとは、栄養成分表示を見ることも大事だね。あんパンは1個80gで脂質が4.2g、炭水化物が40.2gなのに対して、クロワッサンのようなデニッシュパンは、1個30gと半分以下でも脂質は倍近くの8.0gもあり、カラダや脳を動かすために必要な炭水化物は半分以下の13.2gです。
▼低脂質・高炭水化物の食品例
▼脂質が高めな食品例
タツヤ君 ほんとだ、こんな違うなんて、いつも食べたいものを選んでた。甘いクロワッサンも好きでよく食べていたけど、これからは気をつけないと。
尾澤 外はサクッと中はしっとりのクロワッサンはおいしいけど、バターがたくさん使われているからね。脂質は消化に時間がかかるから、運動前はエネルギー源になる炭水化物がしっかりとれて脂質が少なめなものを選ぶと良いよ。
運動前の補食は何をどのくらい?
タツヤ君 では、運動前には補食をどのくらいとれば良いですか?
尾澤 良い質問ですね。運動の1~2時間前なら目安として炭水化物40~50g、脂質は10gを超えないものが良いですね。あんパン、ジャムパン、どら焼き1個は適していると思います。運動までもっと時間がないときは、消化の良いバナナや100%果汁ジュースがおすすめです。
吉田トレーナー そういえば、昨日来ていたルイ君(他校の野球部、タツヤ君の幼なじみでライバル)は最近、お団子にハマっていると言ってたよ。
タツヤ君 えっ?! ルイのやつ、知らなかったぞ。
吉田トレーナー 幼なじみなのに知らなかったのか(笑)。補食は選び方次第。例えば、串団子とクロワッサン、同じくらいのカロリーでも中身が全然違う。運動中、どの栄養素が必要なのかを知った上で正しい選択をすることは、運動中のパフォーマンスはもちろん、カラダ作りにおいても違いが出てくるよ。
タツヤ君 そうなんですね。
吉田トレーナー 今まで見てきたジュニアアスリートでも、補食をしっかり食べられていた選手はカラダがしっかりしていてどんどん活躍しているよ。育成年代の補食はとても大切だね。
タツヤ君 もっと早く知りたかった…。補食は運動前だけとれば良いんですか?
補食を入れて夕食の量を調整する
尾澤 食事の内容や目的にもよるんだけど、色々なシーンで使えますよ。例えば、朝練があって朝食を十分に食べられないようであれば、おにぎりなどを補食として授業前にとってもいいし、練習後、帰宅まで時間がかかるなら、疲労回復のために炭水化物とタンパク質を含む食品をとっておいて、帰宅後に食事をとる方法もあります。
タツヤ君 自分は補食をとっていなかったから、帰宅後の夕食におなかいっぱい食べています。そのせいか、朝は寝起きもスッキリしなくて食欲もないんです。
尾澤 食後、胃では消化活動をしているので、寝たとしてもカラダが休まっていない状態ですね。それでは疲れも残ってしまうし、ぐっすり眠れないと翌日の集中力やコンディションも低下してしまう可能性があります。夕食の量は見直した方が良いですね。睡眠の質はとっても大切なんです。
タツヤ君 頑張って食べても体重が増えないのとスタミナ不足の理由も、夕食の量や食べ方にあったのかもしれないですね。早速、補食をとれるよう親に相談します。
吉田トレーナー 知ったその時から、今から変えていけば良いよ。積み重ねが大切だよ。
今回は、タツヤ君のような甘党アスリートに食べて欲しい補食「シナモンシュガーバナナのオープンサンド」を紹介します。
運動量の多い野球選手はエネルギーの消耗はもちろん、汗からも大量のミネラルが失われます。バナナには炭水化物が豊富に含まれているので運動前のエネルギー補給にもおすすめです。カリウムやマグネシウムが含まれるので、汗から失われる分を補うためにも上手にとって欲しいですね。