ヘム鉄と非ヘム鉄、効果的な摂り方
尾澤 これも持久力に関係していてね。鉄とタンパク質から作られるヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割があるんだけど、これが不足すると全身に酸素が行き届かなくなって試合の後半に走れなくなったり、バテやすくなったりするの。テニスは運動量が多いし、汗をたくさんかいて一緒に流出しやすいから意識して摂りたい栄養素なんだ。
カオル君 知らなかった!! 鉄はどうやって摂れば良いんですか?
尾澤 さっきレバーと言ったけど、レバー以外にも鉄を含む食品はあるから見ていこう。鉄には吸収率が10~15%と高めのヘム鉄と、吸収率5~10%と低めの非ヘム鉄があって、ヘム鉄はレバーや赤身のお肉やお魚に多く含まれます。ブリは血合いのところに多いからそこも残さず食べること。あとイワシの缶詰もおすすめだよ。水煮以外にも味の付いたものもあるからご飯のおともにもなるね。
カオル君 魚は好きだし、缶詰なら家にストックしてあるし、魚から鉄を取り入れることにしよう!
尾澤 ちなみに、白身魚は海の底でじっとしていて敵が来たら瞬時に逃げる深海魚に多くて、逆に赤身魚は海の中をずっと移動している回遊魚に多いんだ。魚も瞬発系と持久系がいるのは面白いよね。
カオル君 なるほど、マグロは酸素を運ぶヘモグロビンが多いから泳ぎ続けられるということか…。
尾澤 非ヘム鉄は吸収率ではヘム鉄より劣るけれど、卵や大豆製品、海藻など含んでいる食材は多いから摂りやすいよね。ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率を高めることができるから、野菜や果物も合わせて摂ると良いよ。
カオル君 確かに非ヘム鉄の方が種類が多いから、野菜や果物と一緒にとれば意外と難しくないかも。アサリの缶詰も多いなんて缶詰優秀過ぎ! 大豆製品も多いんですね。
尾澤 大豆製品のがんもどきは栄養価も高いし、これからの季節、おでんや煮物にもピッタリだね。ちなみに冬に採れるホウレン草は、夏のホウレン草と比較すると、ビタミンCがなんと3倍も多いんだよ!
冬のホウレン草、ビタミンCが夏採りの3倍!
カオル君 え、季節によって野菜の栄養が違うの?! ホウレン草には非ヘム鉄もビタミンCも入っているから、今の季節、食べないといけないね。
尾澤 冬に採れるホウレン草は甘くておいしいからたくさん食べてね!
吉田トレーナー カオル君、持久力を助ける栄養素について学ぶことができたね。自らここに来たことは素晴らしいことだよ。あとは実行することで結果は付いてくるから、頑張ってね。またいつでも相談に来てね。
冬採りホウレン草を使ったレシピを紹介
今回は、夏採りに比べてビタミンCが3倍も含まれる冬採りホウレン草を使った「イワシと冬採れホウレン草の和風パスタ」を紹介します。
イワシの缶詰(生姜煮)とホウレン草を和えたパスタです。ホウレン草はすぐに火が通り、イワシの缶詰も調理済みなので時短で簡単に作れます。鉄はもちろん、エネルギーもとれる一品です。
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