アスリートは大量に汗をかくため、一緒に体内のミネラルも排出されてしまいます。そのミネラルを補うため、ドリンクには塩を入れるようにアドバイスしています。寒い今の時期は乾燥しているため「隠れ脱水」になりやすい時期でもあります。

精製塩はほとんどナトリウム

ただし、塩だったらなんでも良いというわけではありません。選んでほしくない塩は、ナトリウムが99.9%の精製塩です。スーパーなどではかなり安価で売られており、外食先のテーブルに置いてある塩、外食や加工食品に使われている塩も、ほとんど精製塩です。

このように精製された塩は、ほとんどがナトリウムで、他のミネラルは含まれていません。汗で流出するのはナトリウムだけでなく、カルシウムやマグネシウム、カリウムなど様々なミネラルなので、これらを補える塩を選んで欲しいのです。

足つり防止、睡眠質高めるマグネシウム

この中で、アスリートに特に注目してほしいのはマグネシウム。マグネシウムは、食べ物をエネルギーに変える時、ストレス時などにも消費され、筋肉や神経にも作用します。加工食品や外食が増えてくると、カルシウムやカリウムなどに比べて、どうしても不足しやすくなります。また、足のつり防止にもなるため、足がつりやすい選手には、マグネシウムを多く含む食品や塩を勧めています。

塩は、ナトリウム含有率ができるだけ少なく(30~40%以下が望ましい)、マグネシウムが多く入っているものを選ぶと良いでしょう。最近では、岩塩など抗酸化力が高い塩も注目されています。アスリートは常に酸化との戦いですので、抗酸化力の高い塩を選んでも良いでしょう。

マグネシウムは睡眠前に摂取すると、睡眠の質を高めることも分かっています。運動中以外にも、寝る前にひとつまみの塩を入れたドリンクを飲んでもいいでしょう。大切な試合やレースの前には、ミネラルは補給しておきたいので、積極的に取り入れると良いでしょう。ただし、マグネシウムは摂りすぎると下痢するので注意が必要です。1日あたり300~350mgを目安にすると良いでしょう。

今回紹介するレシピは、マグネシウムが多く含まれるナッツとココアを使った「エナジーボール」です。砂糖や小麦を使わず、ミネラルが豊富なおやつ。デーツをベースに、塩をひとつまみ入れることで甘さを引き立てています。

チョコレートのような感覚で食べることができるので、減量したいのに甘いものがほしい! という女子選手にもオススメです。ぜひお試しください。

管理栄養士・園部裕美