イタリア料理で人気といえば、パスタ、ピザ、そしてリゾット。イタリアの米を生産している地域でよく作られる料理です。

 「リゾットは作るのが難しそう」という話をよく聞きます。しかし、コツさえ押さえてしまえば、炊飯器でご飯を炊くよりも、ずっと短い時間で調理できてしまうのです。

「煮る」に近い料理法

 そもそも、リゾットとはどういう料理なのでしょう?

 日本では、米を水に浸して十分に吸水させてから、水を足して加熱する、「炊く」という方法で調理しています。これに対して、リゾットは多くの場合、最初に米をオイルやバターで炒め、ブイヨンなどの水分を少しずつ吸わせながら作る、いわば「煮る」に近い方法で調理をしていきます。

 白飯はふっくらとした炊き上がりがゴールですが、リゾットは米自体に素材やスープのうま味を吸わせて、さらっと仕上げていきます。

うま味たっぷりの栗と鶏のリゾット
うま味たっぷりの栗と鶏のリゾット

 今回は、旬の栗を使った「栗と鶏のリゾット」を紹介します。栗と一緒に鶏肉を加えることで、鶏肉から出たうま味を吸っておいしく仕上がります。

 タマネギ、栗、鶏肉といった味わいのある食材を使うので、足す水分にブイヨンキューブなどを加えず、お湯だけでも十分おいしくでき上がります。

 それでは、家庭でリゾットを作るコツをいくつか紹介しましょう。

<家庭でリゾットを作るコツ>

米は洗わずに
 白飯を炊くときは十分に米を洗いますが、洗米をしている時から吸水は始まります。この吸水を避けるために、米は洗いません。

最初にオイルで米を炒める
 鍋にオイルを入れて、具材となる野菜や肉と一緒に米を炒めます。米の周りにオイルをコーティングさせていくことで、粘りが出にくくなります。

水分は少しずつ、温めたものを
 炒めた米に水分を加える際には、一度に分量全ての水分を入れずに、お米の少し上、ヒタヒタになるくらいの水分を加えていきます。米が水分を吸い切ってしまったら、再度水分を足します。これを2、3回繰り返すだけ。足す水分(ブイヨンやお湯)は、必ず温かいものを使います。上がっている鍋内の温度を下げないための工夫です(ネバリを出さないコツ)。

かきまぜすぎない
 かきまぜるのは時々、水分を足したときくらいで十分です。鍋底にくっつくのが怖くて、ついついかきまぜてしまいがちですが、ネバリが出やすくなるので、くれぐれもご用心を。

最後にチーズとバターでコク出しを
 リゾットが好みの硬さに仕上がったら、火から下ろしてチーズとバターを加えて手早く混ぜます。全体がこっくりと仕上がり、さらにおいしくなります。