バスケットボールの全国高校選手権大会「ウインターカップ」が12月23日に開幕する。女子の鹿児島県代表として、2年ぶり25度目の出場権を手にした鹿児島女は「何としても全国1勝」を合言葉に練習に励んでいる。
2年前は初戦敗退。今年の南部九州総体では県大会決勝で敗れたものの、開催県枠で出場したが、1回戦で敗れた。今大会の1回戦は倉吉北(鳥取)と対戦。ここに照準を絞り、コンディションを整えている。
血液検査で「隠れ」も判明
2年前から、食事改善をはじめとする体調管理、体作りに取り組んできた。県の女性アスリート支援委員会の一員でもある福崎博之監督(49)が「今ひとつ、好成績が出ない」として、選手たちの体を内側からチェックするため、血液検査を受けさせたのが始まりだ。
その結果、思わぬことが判明した。貧血の指標となるヘモグロビンの数値が低い選手が続出。総たんぱくも低く、エネルギー全般が足りていない選手が多かった。
「動きを見ていて、おそらく貧血だろうと思っていた選手だけではなく、グレーゾーンにいる選手がこんなにもいるんだということに驚いた。頑張れない体の選手に『頑張れ』と言ったところで頑張れない。数値をとったことではっきり認識できた」(福崎監督)。
だるい、眠れない、苦しい原因が…
選手自身も衝撃を受けた。同時に「だるい」「眠れない」「走るのが苦しい」と密かに悩んでいた原因が疲れや体力不足ではなく、「スポーツ貧血」によるものだと分かったことで、どの選手も意識が変わり、「鉄が多いものを食べるようになった」と食生活が変化した。
まずは専門医の治療を受け、その後、回復した体を維持するために、管理栄養士の田畑綾美さん(31)から、スポーツ選手がいかに栄養バランスの整った食事が必要か、必要な食事量をとることの大切さを学ぶようになった。自分に足りないものを食べ物で取り入れるため、保護者の協力を得ながら毎日の食事を整えている。
鉄、タンパク質を多くとるように
172センチの酒井絢菜(3年=C)は「以前はどんどん体重が落ちてしまっていたけど、今は眠れないこともなくなった。スポーツ貧血で鉄が足りていなかったので、今もレバー、小松菜、チーズやフルーツをよくとっています」。武田奈々(3年=PG)は「今は毎日、サバ、サンマなどの青魚や鉄の多いマグロ、カツオなどの魚も食べています」。
隠れ貧血だったというキャプテンの加藤桃子(3年=PG)は「タンパク質を多く含む食品をよく食べるようになりました」と、卒業後は栄養士の道に進むことを決めた。畠田優花(2年=SG)は「何が入っているのか、何を食べているのか、意識するようになりました。家族に協力してもらい、調理法を変えてもらって、油ものを減らしてもらっています」。さらにインターハイ予選決勝で敗れた後は、自ら「菓子禁」として体脂肪を減らしたことで、より動きが軽やかになったという。