<お団子の科学>
キッチンの科学プロジェクト(KKP)の「みせす」こと金子浩子です。今年の「中秋の名月」は9月24日。親子でお月見団子を作り、秋の十五夜を眺めてみてはいかがでしょうか。今回は、お団子の科学に迫ります。
白玉粉、上新粉、団子粉?
さて、お団子を作るための粉を買おうとスーパーに行くと、色々なものが置いてあり、迷ってしまいます。原料、用途、使い方…一体何が違うのでしょうか。
●白玉粉
「もち米」を乾燥させて粉にしたもの。独特の粘りや滑らかさ、まろやかさがある。つるっとなめらかな食感が特徴で、白玉に使うことが主。
●上新粉
「うるち米」を粉にしたもの。粘りやまろやかさよりも、歯応えの強いお団子になる。
●団子粉
白玉粉と上新粉をブレンドしたものが多い。柔らかい白玉粉に上新粉の歯応えが加わり、コシが強く、のど越しの良い団子になる。メーカーによって白玉粉と上新粉と割合が違うが、もち米、うるち米の配合は半々のものが多い。
水でこねる?お湯でこねる?
白玉粉と上新粉を使って団子を作る場合、作り方も違います。白玉粉は水でこねるのに対し、上新粉はお湯でこねるのです。
理由は、もち米とうるち米の違いです。うるち米を原料とする上新粉は、水でこねると硬くぼそぼそしてしまうため、もっちり感を出すために熱湯を入れて「糊化(こか)」させます。そうすると、糊のようにもちっとした食感になるのです。
逆に、白玉粉をお湯でこねると、部分的に糊化して、べたついてしまうので注意が必要です。
炊飯も糊化を利用
「糊化」について、もう少し説明しましょう。実は、お米を炊く時も糊化が生じているのです。
米に水を加えて火にかけると、でんぷんの成分グルコースの鎖が崩れ、でんぷんの粒が水を含み、大きく膨らみます。この状態が「糊化」です。
炊き上がるまでには98℃で20分を要します。すると、白いお米が半透明になり、粘りが出て味も良くなります。消化酵素の作用も受けやすく、消化吸収が良くなり、おいしく食べられるようになります(αでんぷん)。
しかし、ご飯を常温に置いておくと、硬くなってしまいます。これは、でんぷんが老化して生っぽい状態に戻るから。一時期、「冷やご飯ダイエット」が流行しましたが、これは消化吸収があまり良くない、という点で話題になったものです。