メレンゲに入れる砂糖を分けるのは
泡立てた卵白に砂糖を入れる際、数回に分けて入れますが、なぜ分ける必要があるか、ご存じですか?
砂糖は手で触るとベタベタしますよね。この粘度の性質を使い、砂糖が気泡の周囲にある水を溶かして粘度を高め、安定させてくれるのです。しかし、一度にまとめて入れると粘度が上がりすぎて泡立てにくくなるので、分けて入れる必要があります。
pHの「酸性」も、泡立てを助けてくれます。本来、卵白はアルカリ性ですが、中性に近づけることで泡を安定させるのです。シフォンケーキ作りでは、メレンゲの泡がつぶれないようにするために、クリームタータ(酒石酸水素カリウム)を加えることがあります。
古い卵の方が泡立てやすい?
卵の鮮度によって、卵白の状態が変わるのはご存知ですか? 鮮度の高い卵白は高い粘度(濃厚卵白)を持ちますが、古くなると成分が分解され、さらっとした水のように(水様卵白)に変わっていきます。水様卵白は表面張力が弱く、空気を抱え込みやすい性質があるため、泡立ちが良いと言われます。
卵白が泡立ちやすくなる条件は以下2点です。
(1)卵白の温度が高い:卵白のコシがなくなり、泡立ちやすくなる。
(2)水様卵白が多い:古い卵のように卵白のコシやまとまりがなくなり、泡立ちやすくなる。
しかし、これはあくまで「泡立て」においてのもの。「泡の持続性(安定性)」では逆の性質を示します。鮮度がいいほど安定性がよく、温度が低いほど泡が持続します。
そのため、初めは湯せんで温度を高くしながらかき混ぜて、途中から冷やして泡を安定させるという方法が、一番効率的で失敗が少ないと言えそうです。ちなみに、レモン(業務用では酒石英)を加えると卵白のpHが下がり、卵白のタンパク質が等電点に達して泡立ちが良くなります。
共立て法と別立て法の違い
スポンジ生地には、卵白と卵黄を別々に泡立てる「別立て法」、最初から全卵(卵白と卵黄)を一緒に泡立てる「共立て法」があります。全卵の泡を利用したスポンジケーキ、卵白のみの泡を使った真っ白な「エンゼルケーキ」と、出来上がりを見越して使い分けています。
別立て法は、卵白でメレンゲを作るため、固くしっかりとした気泡が特徴。保形性があるため、生地を絞り出して焼くメレンゲクッキー、ビスキュイや、軽くふんわりと仕上げたい生地のシフォンケーキなどに応用されます。
一方の共立て法は、全卵に砂糖を加えて白くもったりとするまで泡立てる方法。きめ細かいクリーム状の気泡になり、しなやかなに仕上がります。ケーキの土台など高さのある生地、ジェノワーズ生地など、しっとり仕上げたい生地に用いられます。共立て法でよく湯せんをするのは、卵黄の粘りで泡立ちにくくし、全卵の濃度を高くして泡立てているのです。
なお、個人的には別立て法がおすすめです。卵白だけを泡立て器で、電動ハンドミキサーを使わずに泡立てることができますよ。