梅の種子や未熟な果実に有害物が
梅は果物なのに、生のまま丸かじりをしませんよね? 数年前、ある料理サイトでビワの種子を使ったレシピを掲載したところ、農林水産省から注意喚起があり、レシピを取り下げたことがありました。というのもビワ、アンズ、梅などのバラ科植物の種子や未熟な果実の部分には、天然の有害物(アミグダリン、シアン化合物)が含まれているのです。このことから梅は生ではなく、塩やアルコール、加熱によってシアン化合物を分解し、梅干し、梅酒、梅シロップ漬けなどに加工して食しているのです。
梅酒作りは氷砂糖、2段階の過程
梅酒作りといえば、ホワイトリカーと氷砂糖を使います。漬け終わった梅はしわしわになりますが、その理由は分かりますか?
キーワードは「浸透圧」。梅干し作りでも説明した濃度が濃い方へ水分が引っ張られるという働きです。
(1)アルコール(ホワイトリカー) < [浸透圧] < 梅
(2)梅 < [浸透圧] < 氷砂糖
梅酒を漬ける過程には、(1)アルコールが梅に入る、(2)砂糖が梅のエキスを引き出すという2段階があります。
まだ氷砂糖が溶けない第1段階では、梅の細胞の水分の方がアルコールよりも濃度が高いため、アルコールは最初、梅の細胞の中に入ります。ここで、梅の香りの成分がアルコールに溶けます。第2段階で、氷砂糖がようやく溶け出すと、梅のエキスも溶け始めます。そして梅がしわしわになると、梅酒の完成です。
氷砂糖は、砂糖の結晶がゆっくりと溶け出す性質を持っています。もし溶けるのが早ければ、梅のエキスはアルコールではなく砂糖に溶け出してしまい、香りがアルコールに溶けません。ゆっくりと待つことで、梅酒がおいしくなるのです。