40~50代の女性の顔の悩みといえば、シワやたるみ。「脱マスク生活」が進むと思いきや、コロナ禍で加速した顔の老化が気になって、マスクを手放せなくなったという方も多いのではないでしょうか。
アスレシピ認定アンバサダーたちも、「マスクなし派」は極少数。「いまだ感染が気になる」という理由もありますが、「老化した顔を見せられない」「マスクなしでの外出は恥ずかしい」「もはや、“顔の下半身”の化粧の仕方を忘れた」といったことで、本格的な夏到来を前に悩んでいる方も多くいます。
美を保つには骨を強化し、筋肉を鍛える
たるみの主な原因は、コラーゲン変性や減少によって皮膚の表層部が緩みやすくなるから。これは顔も体も同じですが、顔の場合は「顔面骨の縮み」という顔の骨と筋肉の減少が大きく関係すると言われます。
「顔面地滑りを食い止める 宝田式速5分顔筋リフトアップ」の著者であり、歯科医師の宝田恭子さんは顔老けの3つの原因として「骨の老化」「顔面筋の老化」「光老化」を挙げます。「顔のシワやたるみ、むくみを解消するには骨を強化し、筋肉を鍛えるのが一番」と話す宝田さんに顔老けの原因と、顔面リフトアップ術を教えてもらいました。
骨密度低下が最も表れやすい「顔面骨」
宝田さん 頭蓋骨が縮んでしまうことによって、骨に乗っていた筋肉が下がってしまいます。昨今、骨粗しょう症予防の重要性が叫ばれていますが、骨密度の低下が最も表れやすいのは「顔面骨」と言えます。
ある研究報告によると、40代に約650gだった頭蓋骨の骨量は70代には約280gにまで減少したといいます。また、顔面骨と腰椎の骨密度を比較したアメリカの研究では、骨密度が低下し始める年齢が61歳以上の腰椎に対し、顔面骨は41~60歳で低下し始めることが報告されています。20~40歳までの腰椎と顔面骨(上顎・下顎)の骨密度の比較では顔面骨の方が圧倒的に高いものの、40歳以降は腰椎よりも早くスカスカになってしまうとの発表もありました。
女性の骨は、女性ホルモン(エストロゲン)によって強くなり守られていますが、その分泌は閉経を境に大幅に減少するため、一気に骨密度が低下します。骨粗しょう症予防として骨強化を意識することは、手足などの体の骨だけでなく、顔面骨を保つことにもつながるのです。
表情筋+咀嚼筋の老化、姿勢も影響
顔の老化の2つめの原因は「顔面筋の衰え」です。マスク生活で、それまでのように人と話したり、食事をゆっくり食べたりするという普段の生活が楽しめなかったことで、筋肉を使うことが少なくなりました。
宝田さん 例えば、頬骨から上唇まで延びている「大頬骨筋」と「小頬骨筋」という表情筋の力は私たちの気になる「ほうれい線」に影響が出ますし、また、口角の左右の非対称性にも関わってきます。マスク生活で無意識に口呼吸をしていた人は、顔老けを加速させた可能性が高いと言えますね。よく聞く「お口ポカーン」です。マスクを外しても口呼吸を自覚する場合は、人間の本能的な呼吸である鼻呼吸を意識しましょう。舌ポジションを上顎につけるようにすることで、意外に早く元に戻せます。
また、宝田さんは「姿勢」も顔のたるみやシワに影響を及ぼすと言います。
宝田さん 「年齢は口元に出やすい」とよく言われますが、コロナ禍でのマスク生活や黙食、スマホの長時間使用による猫背姿勢の加速も要因の1つです。頭部を前傾する姿勢、いわゆるスマホ姿勢で、自分の顔を鏡で見て下さい。口角が下がって口が「への字」になり、腹話術の人形のように口角から下に向かって、いわゆる「マリオネットライン」が深く刻まれてしまいます。さらには「ほうれい線」や「首のシワ」がくっきりうつってしまいますよね。
これらを少しでも解消し、顔の老化を予防するため、骨と顔面筋を鍛える「顔筋リフトアップ術」を取り入れてみましょう。「天使のエクササイズ」「頬骨プッシュ」「パタカラ骨盤底かかと落とし体操」は場所をとらず、大きく体を動かさずにできるものです。日常生活のすき間時間に数分間ずつ、毎日継続していきましょう。
やってみよう、宝田式「顔筋リフトアップ術」
「年齢は首に表れる」と言う人もいますが、首には広頚筋(こうけいきん)という表情筋がついていて、鎖骨あたりから始まり、口角横、頬骨付近までその繊維が伸びています。まずは「天使のエクササイズ」で猫背解消を意識しながら、広頚筋をストレッチングしましょう。フェイスラインのリフトアップに効果的です。