管理栄養士・尾澤真紀さんのいるジュニア栄養相談室には毎日、ジュニアアスリートが食事や栄養について質問や疑問を持って訪れます。今日来たのは、サッカークラブチームに所属する中学1年生の男子、ツバサ君です。

13歳男子、身長160cm、体重45kg

ツバサ君は、スポーツ少年団から憧れのクラブチームに加入できましたが、周りのレベルが高いため、ついていくためには何かを変えなければならないと悩んでいました。最近、プロのアスリートが「活躍するには食事が大切」と話しているのを見て、食事の重要性に気づき始めました。「バランス良く」とはどういうことか、疑問を持ったようです。

相談室ではまず、身長・体重を量ります。

ツバサくんの身体データ
13歳男子、身長160cm、体重45kg、身体活動レベルPAL2.0(サッカー練習3時間)、1日のエネルギー消費量2810kcal

※皆さんもまずは自分のエネルギー消費量を計算してみましょう。詳細はコチラのページへ

「手ばかり栄養法」で食材料をはかる

ツバサ君 「バランス良く食べましょう」って聞いたことがあるんですけど、何をどのくらいとればいいんですか。

尾澤 ツバサ君は今、クラブチームでサッカーを1日3時間ぐらい練習しているんだよね。どんどん体が大きくなっていく成長期のアスリートは「主食・主菜・副菜・汁物・乳製品・果物」の6つを揃える「アスリートの基本の食事」を考えるようにしてください。

ツバサ君 僕は色々考えてとってるつもりだけど、例えば、野菜はみそ汁に大根や白菜を入れておけば良いんですか?

尾澤 うーん、おそらくそれだけではツバサ君の必要量はとれていません。野菜の量は「手ばかり栄養法」が参考になりますよ。

ツバサ君 「手ばかり栄養法」というのがあるんですね!

尾澤 では、両手のひらを出してお皿を作ってください。1食に「副菜」としてとる野菜は、この両手に乗る分が必要です。体とともに手のひらも大きくなるでしょ。だから、小さい子は小さい手の分、大きくなったら大きい子の分の量が必要だと考えればいいんですよ。

「手ばかり栄養法」ではかると、1食で必要な野菜はこれくらい
「手ばかり栄養法」ではかると、1食で必要な野菜はこれくらい

ツバサ君 うわー! 毎食こんなに食べなければならないのか…。実は僕、野菜があまり好きじゃないんです。

尾澤 今見たのは、生の野菜だから、すごくたくさん量がある気がして、げんなりするよね。その発想で、サラダとかで生野菜で野菜をとろうとすると、必要量をとるのが難しいと思います。でも、野菜を加熱したらどうなりますか? 煮たり焼いたり、“レンジでチン”したりすると、ぎゅっと見た目の量、かさが減って食べやすくなるでしょ。その量でいいんですよ。

ツバサ君 ああ、確かに! 学校の調理実習でサケのムニエルを作ったとき、添え物のホウレン草をバターで炒めたら、ほんのちょっとになっていた。

尾澤 そうそう、水分が減ってぎゅっとかさが減るんです。そのホウレン草は緑黄色野菜の代表的野菜です。野菜には色の濃い緑黄色野菜と、色の薄い淡色野菜があるんだけど、1日の野菜の必要量(350g)の1/3(約120g)を緑黄色野菜にすると、より高い栄養価がとれるとされています。ところで、緑黄色野菜ってわかる?

ツバサ君 うーん…

尾澤 専門的に言うと、ビタミンAになるカロテンを一定量(可食部100g中に600μg)以上含む野菜のことなんだけど、ニラ、ニンジン、アスパラガス、カボチャ、オクラ、小松菜、チンゲン菜などの色の濃い野菜のことです。実はカロテン量が若干足りないトマトやピーマンも、そのくくりに入っているんです。

ツバサ君 キュウリとかナスは?

尾澤 キュウリやナスは、外側は色が濃いけど、切ってみると中は白っぽいでしょ。だから、あれは淡色野菜。1つで両方の特徴を持つものもあって、長ネギや大根、カブは、白いところは淡色野菜で緑の葉の部分は緑黄色野菜なんです。

ツバサ君 へー、それは「野菜の二刀流」だね。

尾澤 確かに! そう覚えると覚えやすいね。また、「1日の野菜の必要量」と言っているけど、実はその中にキノコや海藻類も含まれています。なので、ワカメやシイタケなども積極的にとればいいんです。手ばかり栄養法に当てはめると、両手のひらいっぱいの緑黄色野菜を1つ、淡色野菜を2つ(キノコや海藻類含む)を1日にとるといいと覚えてくださいね。

【1日における実際の目安量】
緑黄色野菜…150g、淡色野菜…250g、キノコ…20g、海藻類…5g

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